一人焼肉で話題の「焼肉ライク」というお店をご存知でしょうか?
ありそうでなかったおひとり様で焼肉を楽しむことができるお店ということで人気となっており、店舗も増え続けています。
一人焼肉ができるというのは嬉しい限りですが、お店側にメリットはあるのでしょうか。
おひとり様ばかりだとあまり儲からないイメージがありますよね。
しかし、焼肉ライクはしっかりと利益が出るようになっているのです。
今回は、焼肉ライクのビジネスモデルについて解説していきます。
焼肉ライクってどんなお店?
まず最初に、焼肉ライクというお店についておさらいします。
焼肉ライクは牛角の創業者である大西氏が立ち上げたダイニングイノベーションという会社が運営する焼肉チェーン店です。2018年に1号店を東京に出店しました。
一人一台、専用のロースターを使って焼肉を楽しむことができる「おひとり様用焼肉店」です。もちろん座席は1席ずつパーテーションで区切られています。
また、メニューはとてもシンプルで肉、ご飯、わかめスープ、キムチのみとなっています。シンプルな分、提供時間は3分以内となっておりサクッと食べることもできるお店になっています。
コンセプト:焼肉業界のファストフード店
焼肉ライクのお店としてのコンセプトは、焼肉業界のファストフード店を目指すということです。
ファストフードと焼肉は相容れない関係だなと思いますよね。しかし、焼肉にもファストフード的な需要があると予想して焼肉ライクというお店を作ったのです。
具体的には、1人で気軽に入れる、短時間で焼肉を食べられるお店というのをテーマにしています。
焼肉チェーン店がファストフードになれない理由は?
そもそも焼肉屋はファストフードには不向きです。その理由は簡単で、
・値段が高く、気軽に利用できない
・短時間の利用に向いていない
・1人で利用しにくい
というのがあります。
焼肉の平均単価は3,000円以上するのが当たり前です。ランチでも1,000円以下というのは稀でしょう。値段が高いため、気軽に食べるというよりは特別な日に食べるイメージが強いですよね。
また、焼肉屋の平均滞在時間は1時間半〜2時間くらいと言われています。そもそも複数人で利用するのが普通ですから短時間でサクッと食べられるものでもありません。席もテーブル席や座敷席がほとんどで、カウンターは無いので1人では入りにくい雰囲気です。
このように焼肉店は形態上ファストフードにはなり得ません。似たような形態のお店でお寿司屋さんも気軽に入りにくいお店として言われています。しかしお寿司屋さんには回転寿司という形態があるためファストフードに対応できているのです。
そのため焼肉屋だけがファストフードに対応できていない状態だったのですが、その固定観念を崩しに来たのが焼肉ライクというわけですね。
1人焼肉でも儲かるビジネスモデルとは?
では、焼肉ライクの具体的な戦略、ビジネスモデルについてみていきましょう。
低単価、高回転率で儲ける
焼肉ライクでは、一人焼き肉という特性上、低単価かつ高回転率で経営していくという戦略になっています。
焼肉ライクの平均単価は1,000円〜1,500円くらいと言われていますが、比較的値段の安い焼肉チェーン店と比べても半分以下の平均客単価になっています。その分平均滞在時間は25分と短く、他の焼肉屋の4分の1程度です。他の焼肉店が1回転する間に焼肉ライクでは4回転が可能というのは驚異的な数字です。
さらに面白いなと思ったのがランチタイムである12時〜13時の間でも2回転できるのです。これは他の焼肉屋では出来ないことですし焼肉屋以外でもここまで徹底できるかどうかは怪しいラインです。ラーメン屋と同じくらいの回転率は叩き出せているので人さえ集まれば儲かるシステムになっています。
人件費削減を徹底
低単価高回転率の飲食店では利益率が低くなる傾向にあります。そのため、人件費等の経費を削減する努力が必要になります。
焼肉ライクでも人件費削減するための工夫がたくさん施されています。具体的には
・限定的なメニューにより手間を削減
・タブレットで注文する制度
・水はセルフサービス、箸やおしぼりはテーブルの引き出しに格納
・網は1回ごとに交換
などを行なっています。
焼肉ライクでは調理工程もなく、ホールの仕事も極限まで減らしているため人員が必要ないです。さらに、アルバイトでもできるような簡単な仕事ばかりなので経験のない人でも仕事が出来ます。これにより人件費を抑えることに成功しています。
ターゲットは30〜40代のサラリーマン、OL
焼肉ライクではファストフードと言いながらも、客単価は1,500円程度でそこまで安いわけではありません。
というのも、ターゲットを30〜40代のサラリーマン、OLに設定しているからです。
この世代の人たちは比較的自由に使えるお金が多いため、単価を高めに設定しても問題ないのです。
ファミリー層をターゲットにしている他の焼肉店とは完全な差別化が出来ています。
フランチャイズ中心の展開
焼肉ライクでは直営店舗もありますが、フランチャイズ中心に店舗展開しています。
フランチャイズ中心の店舗展開だとオーナー側が店舗費用や運営コストを負担するため、企業側の利益率が高くなりやすいというメリットがあります。
今後もフランチャイズを中心に展開していくスタンスは変わらないようです。
今後の展望について
2018年から規模を拡大し続けている焼肉ライクですが、今後はファミリー向け店舗として郊外に店舗を出店するという計画があるようです。
ファミリー向けでもファストフードの形態は変える事なく今まで通りのスタイルを貫いて経営するみたいですね。というのも、ファミリー層が来店しても、平均滞在時間はそんなに変わらないとの予想なんだそうです。
あくまで手軽さというのは残しながら新たな挑戦をしていくようで、今後が楽しみですね。
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