焼肉きんぐというお店をご存知でしょうか?
インパクトのある看板やCMを見て一度は来店したことのある方も多いのではないでしょうか。
焼肉きんぐは食べ放題のお店として2007年に出来たばかりなのですが今では牛角に次いで業界2位の店舗数を誇っているのです。
かなりのスピードで成長を遂げている焼肉きんぐですが、その成長の要因とは何なのでしょうか?
今回は焼肉きんぐが成功している理由について解説します。
焼肉きんぐとは
焼肉きんぐとは、株式会社物語コーポレーションが運営する食べ放題特化型の焼肉屋です。
物語コーポレーションは、当初「焼肉一番カルビ」という屋号で焼肉屋を始めていました(1995年)。
しかし、同業種との競争が激化するにつれて業績が伸び悩むようになったのです。
そんな中、2007年3月に焼肉業態の新ブランドとして立ち上げられたのが、焼肉きんぐなのです。
この焼肉きんぐが顧客の心を掴み、今では焼肉業界で2位の店舗数を誇るブランドにまで成長したのです。
なぜ成功したのか?
物語コーポレーションが焼肉きんぐで成功した理由とはどのようなものなのでしょうか?
その理由は次の通りです。
・テーブルオーダー制やタッチパネル注文などをいち早く導入したこと
・商品の差別化
・ファミリー向けの戦略
テーブルオーダー制やタッチパネル注文の導入
2000年代の焼肉食べ放題店舗は、お客さんが肉を取りに行くセルフサービス型が主流でした。
今でも「すたみな太郎」がこのスタイルですよね。
セルフサービス型のメリットは、余計な人件費がかからないということです。
しかし、セルフサービスだとお肉の衛生面や鮮度面などの不満が出ることもありました。
そこで、焼肉きんぐではテーブルオーダー制で焼肉食べ放題を実施したのです。
テーブルオーダー制にすることで、お客さんの労力はかからないですし、衛生面や鮮度も保たれるので顧客満足度は上がります。
デメリットとしては、注文を取ってお客さんに提供するための人件費がかかることです。
このデメリットを軽減するために、注文方法をタッチパネルにしたのです。
タッチパネル方式にすることで、店員はお客さんに肉を出すだけになるので人員を削減することができます。
また、タッチパネルで注文することで注文時の待ち時間は無くなり、お客さんに取ってもメリットがあるのです。
以上の2点をどこよりも早く実施することによりお客さんの満足度を上げることに成功したのです。
商品の差別化
焼肉きんぐがお客さんに選ばれている理由の一つに魅力的な商品というのがあります。
焼肉きんぐの他店との差別化は次の3つが挙げられます。
・新4大名物
・期間限定メニュー
・サイドメニューの充実
実際、焼肉屋で商品の差別化をするのはかなり難しいです。
コスト面もあるので同じような肉しか並ばないはずです。タレなどで味に差をつけることはできるかもしれませんが似たり寄ったりになるのは必然のことなのです。
ですが、焼肉きんぐでは、「お肉」に対しても差別化を計ったのです。
そのメニューが新4大名物と呼ばれるものです。
通常の食べ放題メニューとは違い、少し豪華な気分にさせてくれるメニューを開発し提供したのです。
地域によって名物メニューは異なりますが、他の焼肉店では味わえないメニューがあることにより希少性があり新規顧客の獲得やリピートにつながるのです。
焼肉食べ放題では、どのお店でも値段が似たり寄ったりになるので、こう行った限定メニューの存在は大きかったでしょう。
また、焼肉きんぐでは季節ごとに限定メニューを設けています。
2020年秋現在では、「韓国フェア」を実施しており、辛い系のものからチーズを使った商品まで幅広く揃えています。
期間限定メニューを設けることの1番のメリットは、リピーターを獲得できるということです。
焼肉きんぐに一度行ったことがある人でも、このような期間限定メニューがあることでまた行きたいという気持ちになるのが大きな狙いです。もちろん新規顧客の獲得にも効果はあります。
3つ目の差別化戦略は、サイドメニューの充実化です。
肉では差別化しづらいのでサイドメニューを充実させることによって顧客満足度を高めようとする戦略です。
焼肉きんぐで最も注文されている「きんぐコース」のサイドメニューは以下の通りです。
サラダ、海鮮焼き、おつまみ、ご飯もの、デザートまで多くの商品があることがわかります。
一般的に、飲食店経営では、フードロス削減のために無駄な商品を置かないというのが大鉄則です。
ですのでサイドメニューを充実させてしまうことは、食品を無駄にしてしまい原価率が高くなる恐れがあるのです。
また、肉は切って盛るだけですが、サイドメニューでは調理工程が発生するものもあり、その分人手が必要になってしまうこともあります。
焼肉店は調理に人手がかからないことが利点ですがサイドメニューを増やしすぎると人件費も圧迫しかねません。
ですが、サイドメニューは悪いことばかりではありません。
サイドメニューも商品によっては非常に安い原価で提供できるものもあります。
食べ放題においては、一人あたりの利益率をどれだけ上げられるか?というのも重要になっていきます。
客単価が変わらない分、原価の安いものを食べてもらった方が店側からしたらお得になるのです。
なるべく安い原価でかつ手間のかからないメニューをたくさん置くことができれば逆に利益が取れるようになるのです。
単純にサイドメニューをたくさん食べることでお腹いっぱいにもなるので原価を抑える効果も期待できますね。
ファミリー向けの戦略
私が焼肉きんぐで一番上手い(ズルい)と思った点はこのファミリー向け戦略です。
というのも、食べ放題特化型なのにファミリー向けにしている点が利益構造的にものすごく良い仕組みなんですよね。
ファミリー向けということは、子供1人〜数人、両親などのケースが想定されます。
4人家族だった場合に、きんぐコースを選択すると約12,000円になります。
実際、焼肉屋に家族で行った場合にフードだけで1人3,000円の単価は叩き出しにくいです。
店側からしたら、絶対に3,000円の単価が出ることが保証されるのでこれ以上ないメリットになります。
しかし、食べ放題にするとお店側が損をするのでは?という風にも考えられますよね。
確かに原価割れする可能性もあり得るとは思います。
ですが工夫をすることで高い利益率を叩き出すことも可能なのです。
食べ放題で原価割れしてしまうのは、①高い原価の物を食べられる、②たくさんの量を食べられるということが考えられます。
この2つを上手く対策できればかなり儲かるビジネスになります。
焼肉きんぐでは、ファミリー層をターゲットにしています。
子供やシニア層の割引によって家族連れの来店を主体にしているのですが、ファミリー層を相手にすることで原価率を抑えることができるのです。
食欲旺盛な体育会系の家族であれば別ですが、一般的な家族であれば食べ放題でお店側が原価割れするリスクは極端に低いです。
お父さんやお母さんはそこまでたくさんお肉を食べられませんので3,000円払ったうちの大部分がお店の利益になるでしょう。
食べ放題店でファミリーをターゲットにできれば相当儲かるのです。
そもそも食べ放題のお店はファミリー層をターゲットにしていませんし、ファミリー層の来店はあまり期待できないのです。
しかし焼肉きんぐでは家族が来店しやすいように子供、シニア層の割引や魅力的なメニューを開発することでファミリー向けの食べ放題店として成功したのです。
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