坂上・指原のつぶれない店という番組で、飲食店の立て直し企画というのをやっています。
赤字が続いている飲食店を有名チェーン店の社長が再建するという企画なのですが、非常に内容が参考になるのです。
先日放送された回では、京都にあるおばんざい屋さんをあっと驚くようなお店に大変身させるというような企画でした。
その内容とは、おばんざい屋をカレー屋に転身させるというものです。
かなり無理がある内容ですが、一体どのように立て直しを図ったのでしょうか。
今回はおばんざい屋がカレー屋として成功するまでの道のりについて解説します。
京都のおばんざい屋がカレー屋に!
坂上・指原のつぶれない店で立て直し企画として紹介されたカレー屋さんである「宮本カレー」、元々はおばんざい屋さんなのです。
以前は「おばん菜宮本」という名前のお店でランチとディナー向けに営業していました。
しかし、京都でおばんざい屋というのはそれほど珍しいジャンルでもなく、集客力に乏しかったようです。
1日の平均売上高は1万円ほどで月商にするとおよそ30万円弱でした。
毎月赤字を出していた状態でいつ潰れてもおかしくない状況でした。
立て直しをしたのは、「かつや」の社長
この潰れそうなお店の立て直しをサポートしたのは、年商360億円超えの有名チェーン店「かつや」の臼井 健一郎社長です。
臼井社長は広告代理店で4年間勤務した後に、「かつや」の会社であるアークランドサービス株式会社へ社員として入社し、店長として働いたのちに昇格しわずか34歳という若さで社長に就任したというカリスマ性を持っています。
そんな飲食店経営のプロとも言える臼井社長はどんな戦略を立てたのでしょうか?
おばんざい屋立て直しの戦略
ランチ店が少ない場所で、ランチ向けのお店としてリニューアル
まず、臼井社長が目をつけたのは、「周りの立地状況や飲食店がどのようになっているか」という状況でした。
夜営業しているお店は多く、賑わいを見せているようで、付け入る隙がありません。
一方で、ランチを気軽に食べられるようなお店は少ないように感じていました。
そう思った臼井社長が入ったのはコンビニです。
社長はコンビニの商品棚の状況をみて、お弁当や惣菜の数が通常のコンビニよりも1.5倍ほど多いということに気づきました。
このことからランチの潜在的ニーズが高いということに気づき、ランチ一本でやっていくという戦略に切り替えるのです。
京都のおばんざいを使ったカレー屋への転身
さらに臼井社長は、扱う商品を通常のおばんざいから、一手間加えたものにすることを決意しました。
その前提として、お客さんのターゲットを女性や比較的若い層に切り替えるということが重要でした。
今までは、周辺ランチで利用できるお店が少なかったため、女性や若年層向けのお店がありませんでした。
ランチのニーズと、女性が喜ぶような商品を提供するために、「おばんざい×カレー」という全く新しい商品を提案するのです。
一見、異色の組み合わせに見えます。これには店主の宮本さんも苦笑いでした。
おばん菜宮本は出てくる商品の味や接客等に問題は全くない中で、毎月赤字という矛盾を抱えていました。
これには、「周りに居酒屋が飽和しているため、ただのおばんざい屋さんでは埋もれてしまう」ということが原因だったのです。
提供時間は3分以内に
こうして「おばん菜宮本」は「宮本カレー」として生まれ変わるのですが、ランチ営業としては一番重要となるポイントがありました。
それは、提供時間の早さなのです。
学生さんでもサラリーマンでも、お昼やすみという貴重な時間に外食に来ます。
その中で、提供時間が10分以上かかるようなお店では、リピートはされにくいだろうということです。
臼井社長がカレーで勝負しようと言ったのもこの提供時間を考えてのことなのでしょう。
この提供時間は3分以内というのを目標としていました。
飲食店でアルバイトを経験した方であれば、3分以内に料理を提供するのがいかに難しいことなのかわかると思います。
しかし、提供時間を早くするということは、顧客満足度を高めるとともに、お客さんの回転率を上げるという側面からもプラスになります。
ランチ営業では時間が限られます。
特に12時台にどれだけお客さんを回せるかというのが鍵になってくるでしょう。
そのためには1秒でも早く提供できるようにする、というのが大事なんですね。
潰れない飲食店にするための大事なポイント
ここまではどういうお店にするかという「骨組み」の部分を話していきました。
ですが、お店や料理だけ良くても儲かるお店にはなりません。
ここからは、その後どういう営業をしなければいけないのか?という点について解説します。
①1日いくら売上を出さなければいけないのか?という目標を作る
飲食店経営をされている方のほとんどは数字に強くない人ばかりだと思います。
しかし、経営で最も大事なのは数字です。
闇雲に営業していても利益が出るわけではありません。
どういう商品を、どのくらい売れば、どれだけの利益になるかというのを考えておく必要があるのです。
今回のテレビの企画では、商品というものは設定されていました。
おおよその値段も設定され、いくらの儲けが出るのかというのもわかります。
あとはどのくらい売れば良いのか、ということです。
どのくらい売れば良いのかというのは、損益分岐点という考え方があります。
これは経営する上では最も大事なことで、損益分岐点がわからないとその商品を売る意味がないです。
損益分岐点とは、いくら売れば黒字になるのかという境目の点です。
今までのおばんざい屋では1日1万円の売上で赤字になっていました。
では「宮本カレー」が利益を出すためには一日いくら売上を出さなければいけないのでしょうか。
臼井社長はお店の経費、店主の生活費を抜いて、毎月20万円の貯金を残すために、1日40食売り上げるという目標を設定しました。
つまり、1日40食を売れば、月に20万円貯金できるというゴールを設定したのです。
目標を設定することは、経営においては最も大事なことですね。
②待っているだけでは、お客さんは来ない
1日40食という目標を達成するためには、もう一つ大事なことがあります。
それは、外に営業するということです。
ただお店の中で待っていても、来てくれるお客さんの数には限界があります。
どんどん宣伝をしなければいけないのです。
そのためにはお客さんが来ていない間や営業時間外に積極的にチラシを配るということが大事です。
認知されなければ、来てくれないので、一人でも多くの人に知ってもらうための努力をする必要があるわけですね。
そのために店主夫婦で会社員の帰宅時間を狙って最寄り駅前でチラシを配るという宣伝をしていました。
かなり地道な作業ですし、恥ずかしいように思えますが、経営をする上ではとても大事なことなのです。
今後どうなるかは店主の行動次第です
このような戦略でオープン3日目には目標を達成し49食を販売していました。
現在ではコロナウイルスの影響もある中で「1日50食限定」にして販売しているようですが、連日完売となっているようです。
テレビで放映された効果もあり、人気のようですがいつまでもこの人気が続くわけではありません。
周りにランチのお店が増えたら競合を強いられることになります。
今後潰れないお店になっていくためには先程の①目標を立て②常に行動するということが重要となっていくわけですね。
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