日本にあるカフェチェーン店で最も人気があるのは、スターバックスコーヒーです。
店舗数もシェア率もトップを誇っています。
スターバックスに次いで、似たようなお店としてドトール、タリーズなどのカフェチェーン店も全国にたくさんあります。
そして、日本で4番目に店舗数があるカフェは「コメダ珈琲店」なのですが、こちらのお店はスターバックスコーヒーとは真逆の路線で勝負しているのです。
というのもビジネスモデルが大きな違いがあるからなのです。
カフェチェーン店というくくりで見たら一緒なのに、なぜビジネスモデルが異なっているのでしょうか?
今回はスターバックスとコメダ珈琲店のビジネスモデルの違いを紹介し、両社の経営手法について解説していきたいと思います。
スタバとコメダの違いとは?
スターバックスとコメダ珈琲店の大きな違いは
①FC/直営店の比率が大きく異なる
②店内レイアウト、座席配置が異なる
③回転率、客単価が異なる
④利益率が異なる
というものが挙げられます。
特徴その1:店舗運営形態の違い
まず、スタバとコメダの大きな違いとして挙げられるのは、店舗運営の形態が大きく違うということです。
日本のスターバックスコーヒーはフランチャイズ展開をしておらず、全て直営店で管理運営を行なっています。
一方、コメダ珈琲店は、既存店舗の95%以上がフランチャイズ店舗です。
同じカフェスタイルの店舗でも、ここまで真逆なのは珍しいですね。
特徴その2:店内の違い
スターバックスの店舗は、あまり広くはなく、席の間隔も狭いです。
テーブル毎の間隔もせまめなので、割と多くのお客さんを収容できるスペースがあります。
一方、コメダ珈琲店は1テーブル毎に広いソファ席となっている関係でボックスタイプの席がほとんどです。
店舗自体が広いのもありますが、席の間隔がゆったりしているのが特徴的です。
特徴その3:滞在時間、平均単価
スターバックスでは、カフェでありながら平均滞在時間は30分〜1時間程度です。
店舗もほぼ満席状態をキープしながら1時間弱の滞在時間ですので、回転率が非常に良いのがわかるでしょう。
客単価は500〜1,000円程度です。安いものだとコーヒー1杯で300円程度です。
コメダ珈琲店では、平均滞在時間が1時間〜2時間です。
フードメニューも充実しているので、カフェ感覚というよりはご飯を食べてついでに珈琲を飲んでゆっくりするお客さんが多いのでしょうか。
そのため客単価も1,000円〜1,500円と、スタバとは対照的です。
コメダでは、珈琲1杯でも450円程度です。フードメニューも500円以上はするので両方注文した場合には1000円以上になってしまいます。
特徴その4:利益率の違い
スターバックスの場合、①客単価はそれほど高くなく、②直営店がほとんどです。
そのため利益率はあまり高くありません。
スターバックスジャパンは現在上場していない関係で、決算内容が公表されておりませんが、2014年時点では営業利益率は8%程度しかありませんでした。
営業利益率が8%ということは、1億円売上があったとしても800万円の利益にしかならないということです。
ただ、多くの飲食店やカフェではこれぐらいの利益率が妥当です。
コメダ珈琲店は店舗のほとんどがFC店舗である関係上、利益率がかなり高いのが特徴的です。
コメダホールディングスの営業利益率はおよそ30%です。1億円の売上があったら3,000万円の利益になります。
利益率が高いということは、コスパの良い経営形態であると言えますね。
両社の基本的な情報
スタバ、コメダの両社は対極的であるということがわかりましたが、店舗数や料金の違いはどのくらいなのでしょうか?
店舗数
店舗数という観点では、大きな違いがあります。
スターバックスは現在国内に1,581店舗あります。
この数字は国内のカフェチェーン店ではトップの数字になります。
一方コメダ珈琲店は873店舗で、スタバのおよそ半分くらいしかありません。
コーヒー1杯の料金
続いて、コーヒー1杯あたりの料金です。
スターバックスで一般的な、「ドリップコーヒー」のトールサイズの値段は330円です。
一方コメダ珈琲店の「コメダブレンド」は店舗により異なりますが、450円〜となっています。
同じコーヒーでも、100円以上の差がありますね。
両社の経営戦略の違いとは?
では、基本的な違いを理解した上で、経営戦略上の違いについて解説していきます。
スターバックスでは、店舗と商品の「ブランド力」という点を重視しているため、店舗運営や個々の商品開発に力を入れています。
直営形態で店舗をしっかり管理する&質の高い商品を提供するということで、お客さんから圧倒的な支持を得ることに成功しているのです。
利益率は高くないですが、多くのお客さんからの人気があるので、高い売上を維持することができているのです。
コメダ珈琲店は、顧客満足度を高めるための「くつろぎの空間」を意識しています。
店内はのびのびとしていて、ゆっくり滞在できます。店員さんがわざわざ注文を取りに来てくれたりとカフェにしてはサービスが豊富です。
もちろんその分店舗運営にかかる人件費等も考慮しなければいけないのですが、コメダ珈琲店の店舗はほとんどがフランチャイズなので店舗運営の負担がないのです。
FCと直営店のメリットデメリット
コメダはFCがほとんどで、スタバは直営店がほとんどです。
両社の店舗形態がここまで違うのは、それぞれメリットとデメリットがはっきりしているからなのです。
フランチャイズの最大のメリットは、店舗運営の経費がかからないということです。
フランチャイズでは、オーナーからフランチャイズ料金をもらうことで、売上が発生します。
通常の店舗運営はフランチャイズのオーナーが管理するので、店舗経費の負担がかからず、高い利益率を維持できるのです。
また、フランチャイズでは、加盟店の数が増えれば増えるほど売上が上がり、業績も良くなります。
直営店舗で運営を行うと、店舗を増やしてもその店舗が利益を出さなければ、業績アップにならないです。
不採算店舗があろうがなかろうが、店舗数に応じて業績が連動するのが最大の特徴です。
そう考えると、直営店よりフランチャイズ店舗を増やした方が良いのでは?と思う方も多いかもしれません。
スターバックスがフランチャイズを出したがらない理由には、「ブランド力」というものがあります。
フランチャイズ店舗は、フランチャイズのオーナーが管理しています。
そのため、人材の育成や店舗状況は全てフランチャイズオーナーの責任になるわけです。
つまり、本部側で店舗管理を十分に行えないというデメリットがあります。
バイトを雇うのもフランチャイズオーナーです。そのバイトを教育管理するのもフランチャイズオーナーです。
もし雇ったバイトが問題を起こした場合はフランチャイズオーナーの責任にはなりますが、世間のイメージとしては、その企業のイメージが悪くなってしまうのです。
全店舗を直営店にすることができれば、問題のないように店舗責任者(社員)が管理しますし、何か問題があればその店舗の責任者(社員)が責任を負う形になるのです。
このように、フランチャイズは効率的に経営を行える分、ブランドイメージ悪化のリスクも十分にある、ということです。
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