ニトリが家具メーカーで一人勝ちしている戦略とは?

皆さんは、家具を購入しようと思う時にどこのお店で購入しますか?

日本に住んでいる方のほとんどは、ニトリで家具を買ったことがある人も多いでしょう。

家具が売っているお店として最も有名なのはニトリですが、他の企業やお店でニトリのライバルになっている企業ってかなり少ないですよね。

海外ではイケアが有名ですが、日本ではあまり浸透していないです。というのも、ニトリが日本の家具業界を牛耳っているからなのです。

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では、なぜニトリはここまで一人勝ちしているのでしょうか?

今回は、ニトリのビジネスモデルについて解説します。

目次

ニトリは33期連続で増収増益という好決算

ニトリは家具の販売を手掛けている会社の中でも一人勝ちしている会社です。

その証拠として、ニトリは33期連続で増収増益中という好決算を記録しているのです。

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いったいなぜここまで業績を伸ばし続けていられるのか、ビジネスモデルについて着目してみましょう。

ニトリのビジネスモデル

ニトリのビジネスモデルは大きく分けると2つあります。

ニトリのビジネスモデル

・SPA +物流戦略

・コストリーダーシップ戦略

SPAプラス物流

ニトリのビジネスモデルで運用されているのは、SPAというアパレル業界で導入されているものです。

SPAとはSpeciality Store Retailer of Private Label Apparel の略称で、商品の販売だけでなく、製造、企画まで自社で対応するビジネスモデルのことを言います。

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製造を自社で請け負うことでメーカーからの仕入れが無くなるので、販売までのコスト(原価率)が安くなり高い利益率を確保できます。

日本の代表的なアパレルメーカーでは、ユニクロやワールドなどの大手企業がSPAを導入しています。


ニトリでは、このSPAモデルを基盤として物流システムも自社で行うという独自のビジネスモデルになっています。

製造→物流→販売まで自社で行うため、中間業社が一切入らないという仕組みです。そのため、仕入れにかかるコストカットが徹底されているのです。

自社で製造も物流もやるということは、製造工場、輸送に必要な倉庫、トラックなどの設備を用意する必要がありますし、それに伴って人出も必要になるというデメリットがあります。仕入れは確かに安いかもしれませんが、初期投資費用や人件費はその分高くなってしまいます。

アパレルメーカーなどでは物流まで自社で行ってしまうと採算性が悪いということで導入していませんが、ニトリは家具メーカーなので物流システムを導入するメリットが多いにあるのです。

ニトリが物流に力を入れる理由

家具の製造、販売をメインとするニトリにおいて、物流システムを整えるメリットとはなんでしょうか。

その答えは、物流を自社で行った方が効率的かつコストも安いということです。

家具の販売という業態で、ネックになるのは「家具が大きい」といいことです。

家具は1点1点が大きいため、店にたくさん置くこともできません。お客さんも購入した家具をそのまま持ち帰ることも難しいでしょう。

家具を購入した場合は、後日の配送となるケースがほとんどです。その場合に配送業社を利用してしまうと配送料が取られてしまいます。

配送料を企業が負担するにしてもお客さんが負担するにしても大きなデメリットとなってしまいます。

そこで、ニトリでは物流を自社で行いコスト削減をしているのです。

また、家具販売店では店舗のスペースが限られているため、在庫のストックができないです。そのため店舗では見本だけ置いておき、実際の商品は倉庫に保管しておいた方が効率的です。

商品をストックしてある倉庫を中心として、店舗や購入者の自宅までトラックで届けるようなシステムを完備し、コストカットと効率化の両方を達成しているのです。

コストリーダーシップ戦略

ニトリのもう一つの経営戦略は、コストリーダーシップ戦略と呼ばれるものです。

コストリーダーシップ戦略とは、経済学者マイケル・ポーターによって提唱された競争戦略の一つで、コストを下げることによって競合他社よりも優位性を持つ戦略です。

ニトリでは、SPAによって原価率(コスト)を下げています。これにより、他の企業よりも安い値段で質の高い商品を販売することができているのです。

「お、ねだん以上」というニトリのキャッチコピーはSPAによるコスト優位性から生まれているものなのですね。

ニトリは原価率を下げることで、他社より安い製品を販売しているだけでなく、利益率の高い商品も販売できています。

このように商品販売のコストを下げることができれば、高い利益率を出せるだけでなく価格戦略にも勝てるという優位性が生まれるのです。


同じように、コストリーダーシップ戦略をとっている企業として有名なのが、ユニクロ、GUなどを運営するファーストリテイリングです。

ファーストリテイリングもSPAモデルを導入していて、コストを下げることによってコスト優位性を保ち続けています。

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ニトリが一人勝ちしている理由

ニトリのビジネスモデルについて見ていきましたが、次に日本国内の家具小売店でニトリが一人勝ち状態である理由を解説します。

ニトリが家具の小売業として勝ち続けているのには、

・圧倒的な品質の高さ

・価格の安さ

というところにあります。

他社より安くて品質が高い商品を提供しているので、ニトリ以上のお店が出てこないということですね。

この安さや品質の高さというのは、先ほど説明したビジネスモデルである「SPA」により実現できています。

SPAモデルの導入により余計な経費をかけることなく、安い原価率で商品を販売することが可能です。これにより安くて質の高い家具が提供できるのです。

コストパフォーマンスの面でニトリには勝てないので、他の企業はデザインや高級感などといった差別化できる要素がないと競合できません。

品質と価格で絶対的な優位性を持っているニトリが一人勝ちし続けられているということですね。



・今回参考にしたサイト

https://www.nitorihd.co.jp/division/business_model.html

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