ゲーム会社として知らない人はいないであろう任天堂株式会社の決算が公開されました。
今年のGWは外出もできず、ゲームにお世話になった人も多いのではないでしょうか?
実際、ゲームの需要は高まっているようで、Nintendo Switchも品薄状態になっているようですね。
そんな任天堂ですが、今回の決算内容はどうだったのでしょうか。
今回は2020年3月期の決算内容について、解説していきます。
任天堂株式会社の2020年3月期決算
では、任天堂株式会社の決算について見ていきましょう。
決算資料については、任天堂のホームページにて公開されています。
https://www.nintendo.co.jp/ir/index.html
・任天堂の決算について(単位は百万円)
2020/3 | 2019/3 | 増加率(%) | |
売上高 | 1,308,519 | 1,200,560 | 8.9 |
営業利益 | 352,370 | 249,701 | 41.1 |
経常利益 | 360,461 | 277,355 | 29.9 |
当期純利益 | 258,641 | 194,009 | 33.3 |
総資産 | 1,934,087 | 1,690,304 | 14.4 |
純資産 | 1,540,900 | 1,414,798 | 6.3 |
自己資本比率(%) | 79.7 | 83.4 | -3.7 |
売上高は1.3兆円ということで前年よりも1000億円ほど増加しています。
前年度の売上が悪かったというわけではありません。
実際前年度も人気タイトルの売上やSwitchの売上好調により増収増益でした。
それでは、なぜ今期決算は好調だったのでしょうか?
Switchの売上が好調だった
任天堂が現在収益基盤の柱としているのは、Switchです。
このSwtichの本体、ソフト含めた売上高は1兆2541億円となりました。
これだけでも前年売上高を超えています。
このSwitchが好調である要因について見ていきましょう。
まず、本体についてです。
2020年3月期の本体売上実績はこちらです。
2020/3 | 2019/3 | |
Nintendo Switch | 1,483万台 | 1,695万台 |
Nintendo Switch Lite | 619万台 | – |
2020年3月期から新たにNintendo Switch Liteという商品を販売しました。
Switch単体だけで見ると前年より212万台ほどマイナスですが、Liteと合わせると前年より408万台多い売上実績ということがわかります。
Switch本体は2017年から販売しています。
3年経った今でもこれだけ販売数が伸び続けている要因はなんでしょうか?
その答えは、ゲームソフトの人気が高いということです。
ポケモン、どうぶつの森などの人気タイトルの販売が絶好調
大きく売上を伸ばす要因となったのは、人気ソフトの登場です。
「ポケットモンスター ソード・シールド」、「あつまれ、どうぶつの森」などの人気タイトルが爆売れしました。
ポケモンは1,737万本、どうぶつの森は1,177万本の売上を記録しました。
ソフトウェア全体の販売数は1億6,872万本と、前年比+42.3%という驚異的な数字を記録しました。
新型コロナウイルスの影響によりゲームの需要がアップ
多くの企業が新型コロナウイルスの影響を受け苦しんでいる中で、ゲームの需要が高まりました。
家にいる時間が長くなることで、ゲームをする時間も取れるようになったということですね。
実際、「あつまれ、どうぶつの森」は3月下旬に発売しましたが、発売からわずか6週間で1,341万本の売上を記録しました。
過去の「どうぶつの森」シリーズの類型売上高を6週間で越すという結果になり、驚異的な売上を見せています。
デジタル販売も着実に伸びている
また、注目したいのは、デジタル販売部門です。
デジタル販売とは、ダウンロード版のソフトや、ダウンロードコンテンツ、Nintendo Switch Onlineなどの販売を指します。
デジタル部門の販売実績はこのようになっています。
2020/3 | 2019/3 | 増加率 | |
デジタル売上高 | 2,041億円 | 1,188億円 | +71.8% |
デジタル売上高比率 | 34.00% | 24.80% | +9.2pt |
デジタル売上高は前年比+71.8%の2,041億円でした。
着実にデジタル部門の売上が伸びています。
また、デジタル売上の比率も34%と、販売の中枢を担っている分野であることがわかりますね。
デジタル化されることによって、任天堂側はハードの生産費を抑えることができるのでコスト削減につながります。
今後の決算見通しについて
では、2021年3月期の決算はどのような見込みになるのでしょうか。
任天堂側は1000億円程度の減収を見込んでいる様子です。
まず、新型コロナウイルス感染症による消費行動の落ち込みを予測しています。
これにより売上は減少すると予想していますが、Switch関連の売上を維持するために普及拡大を推進していく方針です。
具体的には、新作ソフトの発売や、既存人気タイトルの追加コンテンツ配信です。
また、他社ソフトメーカーの新作発売も予定しており、今後もSwitchが継続的な人気を維持することは予測されます。
今後の業績についての個人的見解
企業側は若干弱気の業績予想となりましたが、まだまだ十分な余力を持っています。
その一つの指標と言えるのが、自己資本比率の高さです。
任天堂の自己資本比率は79.7%です。
ほとんどが自社保有の資産であり、負債は総資産の2割程度しかありません。
さらに、現金・預金は8,904億円もあります。
これだけ現預金を保有しているので、不測の事態に陥っても経営が傾きにくいのは言うまでもありません。
しかし、懸念点がないわけではありません。
というのも、任天堂の現在の収益基盤はNintendo Switch一本です。
Switch本体の売上自体は今後は緩やかに減少していくことは予想されます。
その場合に、①Switchのソフトを出し続けるのか、②新しいハードを出すのかという点が分岐点となります。
①の場合はもちろん売上が大幅に減少します。
②の場合は予想がつかない結果になります。
新しいハードを出すというのは、リスクがあります。
Switchは大きく成功しましたが、次のハードが成功するという保証はありません。
実際、過去には、WiiUの販売が振るわなかったという事実もあります。
また、現代はあまりゲーム機を持たない時代でもあります。
スマホでもゲームができる時代に、新しいハードの需要は大きくはないでしょう。
とはいえ、このような時代でこれだけSwitchが好調であるというのは素晴らしい事実です。
おわりに
任天堂の決算について見ていきましたが、素晴らしい財務内容ということがわかります。
今後はコロナウイルスの影響下の中で、どのようなコンテンツを出していくのかということが注目されます。
また、Switchに代わる新ハードを出すのか、というのも大きな注目ポイントですね。
決算公開後の業績予想で、2021年3月期予想を出してから、株価が下がったということもあり、若干の不安視をしている投資家もいます。
今後の動向に注目ですね。
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