日本マクドナルドホールディングス株式会社の2019年通期決算が発表されました。
マクドナルドって昔に比べて変わったなあという印象を受けませんか?
昔は平日バーガー半額があったり、100円マックがあったり、60秒以内に商品提供できなければ無料券を配布したりと色々やっていました。
今現在では平日夜はプラス100円でパティが倍になったり、モバイルオーダーができるようになったり、席まで商品を持ってきてくれたり、ごはんバーガーが登場したりと、常に新しいことをしているような印象です。
マクドナルドは2000年に入ってから経営難に陥ることが多々ありました。
最近ではかなり好調なようですがそれまでは失敗も多くありました。今回はそんな日本マクドナルドホールディングスの決算と、これまでのマクドナルドについての歴史についても見ていきましょう。
日本のマクドナルド歴史
始まりは貿易会社の第一号店出店から
日本でマクドナルドが出店したきっかけは貿易会社の藤田商店がマクドナルドのフランチャイズ権を獲得したことが始まりでした。
藤田社長は日本マクドナルド株式会社を設立し1971年に銀座店を出店しました。
米国マクドナルドは銀座ではなく、郊外出店を希望していましたが、藤田社長は銀座への出店を強く希望しました。
とても狭い店舗で客席はなく、持ち帰り専門店でした。
また、バーガーの値段は高かったのですが、当時の銀座は情報の発信源だったので大変な評判を産みました。
こうして日本にハンバーガーというものが定着したのでした。
1970〜1990年、順調に拡大
1977年ドライブスルー併設店舗を開設、1982年には米国マクドナルドの支援によりPOSシステムの開発、1987年ハンバーガーとドリンクのセット商品の販売などにより店舗をどんどんと拡大させていきました。
1990年に山形県に開店し、全都道府県進出を達成させることができました。
今ではハンバーガー店の当たり前ともなっているセット商品ですが、当時は斬新な設定でこれが大ヒットしたのです。
1990年代、価格大幅値下げ
1994年に「エブリデイ・ロープライス」を掲げて「バリューセット」を販売しました。
ハンバーガーセットやビックマックセットの価格を大幅に値下げしたり、1995年にはハンバーガー単品の価格が値下げしました。
これが後々大きく影響してくるのですが…。
この値下げを受け、他のファーストフード店も対抗して値下げをするようになりました。
こうしてどんどんと価格競争が起こっていったのです。
こうした中、2000年に「平日半額キャンペーン」を始めます。
平成の不景気もあってかこのキャンペーンで40代、50代の世代の人にハンバーガーが受け入れられるようになっていきました。
バブルが崩壊してデフレが続く中、マクドナルドは順調に利益を出し、ジャスダック市場に株式上場を果たすようになりました。
2000年以降、赤字転落しブランド力が落ちる
平日半額キャンペーンは他のチェーン店に大きな影響を与えました。
これにより、吉野家が牛丼を値下げしたりと連鎖的に価格破壊を引き起こすようになったのです。
2002年には平成不況が続いて客単価が減少しました。2002年に日本マクドナルドは初めて赤字決算となるのです。
そのような結果を受けて、不採算店舗を閉店するようになります。
また、平日半額キャンペーンが2002年2月に終了しました。その代わり通常価格を値下げしたのですが、半額よりは高いため客離れを引き起こします。
焦って同年8月に再度値下げしますが、消費者は半額の値段に慣れているため思うように客足が戻りませんでした。
この一連の流れで日本マクドナルドは経営悪化。さらにハンバーガーは安物商品だというイメージを消費者に与えてしまったため、ブランドを落としてしまうという結果になりました。
この結果藤田社長は退任。日本マクドナルドは米国マクドナルドの傘下になりました。
2000年中盤以降、新体制、メニューの開発
2004年以降、ブランドイメージ回復のため様々な戦略を打ち立てます。
レギュラーメニューを改定したり、価格見直しをしたりサイドメニューの編成しなおしました。
まず最初に打ち立てたのは「安価戦略」の見直しでした。
安かろう悪かろうより、顧客の満足できる商品を提供すること。
様々な商品を展開し、失敗もありましたが、えびフィレオのヒットやサイドメニューのサラダなどは、女性客の獲得につながりました。
こうした高単価商品の中「100円マック」を拡充させます。
高単価商品のついでに買ってもらうために「100円マック」を拡充させましたが効果は絶大でした。
またクォーターパウンダーという価格の高い商品を復活させたりと客単価の上昇に努めました。
2010年代、再度低迷期なり暗黒期を迎える
体制を変更したマクドナルドは客単価の上昇に成功させ2010年初頭には業績を回復させました。
しかし2012年に客単価が低迷してしまいます。
日本マクドナルドはこれに対し、カウンターメニューの廃止、60秒以内に商品提供しなければ無料券を配布するなど斬新なキャンペーンを実施しますがうまくはいきませんでした。
客単価の回復を図るために、商品価格を再度見直しますが、顧客数の減少を導いてしまいました。
そうして2013年に原田社長が社長を退任します。後任は現代表取締役のミラ・カサノバ社長です。
しかし2014年には中国産マックナゲットの期限切れ問題、2015年の異物混入事件もあり、2015年12月期の日本マクドナルドは過去最大の赤字になってしまいました。
現代表、ミラ・カサノバ氏の業績回復策
2015年に最大の赤字を迎え、米国マクドナルドは日本マクドナルドの株式売却を検討していました。
しかし、カサノバ社長は驚くべき行動をしていたのです。
2015年の間、カサノバ社長は日本の全都道府県を訪問し、顧客からのヒアリングを行っていました。
このヒアリングを通じて、カサノバ社長は、品質管理の向上、「食の安全」情報提供、新たな低価格商品の導入を軸とした「ビジネスリカバリープラン」を策定しました。
この「ビジネスリカバリープラン」による顧客満足度の向上、創業45周年記念商品、ポケモンGOとのコラボなどが功を奏して2016年に売上が一気に回復しました。
こうして顧客の信頼を取り戻した日本マクドナルドは、2017年、2018年も順調な売上を継続していったのです。
日本マクドナルドホールディングスの2019年12月期決算
本題の2019年12月期決算です。
2018年12月期 | 2019年12月期 | 差額 | |
売上高 | 272,257 | 281,763 | 9,506 |
売上総利益 | 53,198 | 56,096 | 2,898 |
販売費一般管理費 | 28,152 | 28,078 | -74 |
営業利益 | 25,045 | 28,018 | 2,973 |
経常利益 | 25,644 | 27,487 | 1,843 |
当期純利益 | 21,939 | 16,885 | -5054 |
売上高プラス3.5%、営業利益プラス11.9%と驚異的な伸びを見せていますね。
売上高に関しては過去最高の水準なのだそうです。
マクドナルドは2018年〜2020年までに中期経営目標を掲げていて、そのための3つの策があります。
- メニュー、バリュー、ファミリーのコアビジネス
- デリバリー、デジタル、未来型店舗の成長加速策
- 新規店舗や既存店舗のリビルドによる店舗展開
コアビジネスについては2018年にほぼほぼ確立されていると言っても良いでしょう。
2019年は下二つに注力していったと言えるでしょう。
その二つに注目してみます。
未来型店舗体験の実施、デリバリーの開始
未来型店舗体験ってなんだ?と思われる方も多いでしょう。
最近マクドナルドに行ってない人は驚かれるでしょうが店舗のシステムがだいぶ変わっているのです。
未来型店舗体験として、主に3つの施策をしています。
- おもてなしリーダーの導入
- テーブルデリバリー
- モバイルオーダー
ここから分かる通り、今マックはレジで商品を受け取らなくなってきているし、モバイルで注文したら自動で作ってくれるようになるのです。
これってかなり革新的で、お客さんはレジで待たなくていいし、店側も注文を受けるという作業を減らすことができます。
顧客満足度と店舗人件費を減らすことができる策として機能を発揮しているというわけですね。
極端な話、スマホで注文した後席に座るだけで商品を持ってきてくれるという楽々システムになりつつあるのでとても楽チンです。
もう一つ、マクドナルドは自社のデリバリーと、UberEatsのデリバリーを利用することができるようになっています。
全国に対応しているわけではありませんがこれからの時代に対応してきています。
店舗展開やリビルドによる店舗の投資
マクドナルドは新規出店もしていますが、既存店舗の改装もしているんです。
昔行ったことのある店に行ってみるととても綺麗になっています。モニターとか増えててビックリです。
このように新時代を勝ち抜くためにおしゃれかつ使いやすい店舗へと進化を遂げているのがわかります。
商品、資産、人材全てに力を入れている
日本マクドナルドの良い点は、商品開発による顧客満足度の向上、店舗投資によるシステム強化、人材育成によるクルー満足度の向上と、全てに力を入れており、バランスが良いです。
マクドナルドはほとんどアルバイトで構成されていますが接客も良いです。スマイル0円なんて昔に流行りましたがそれぐらいサービスに力を入れています。
人材育成制度もしっかりしています。この点は大企業ならではといったところでしょうか。
現在では「ごはんバーガー」が導入されたり商品開発にも積極的です。ここに関しては失敗もあるでしょうがヒット商品は年々変わっていきますので新しい商品を生み出すことはプラスであると言えるでしょう。
自己資本比率は驚異の71.9%!
マクドナルドで驚くのは自己資本比率です。
自己資本比率とは、会社の持っている資産(お金、建物など)のうち、資本(自社のお金)がどのくらいかという比率です。
自己資本比率が高いということは、「借りているお金」が少ないということとです。
借りているお金が多いと当然返済しなければいけない額も多いということです。
また資本(自社のお金)が多いと、大幅な赤字になっても自分で補填可能です。
日本マクドナルドの自己資本比率は71.9%で、その純資産額は1,592億円です。これは驚異的と言わざるを得ないです。
自己資本比率は企業の安全性を見る上で重要なポイントになりますので注目してみましょう。
まとめ:マクドナルドはここ数年で劇的に変化しています
以上が日本マクドナルドホールディングス株式会社の決算解説まとめになります。
昔のマクドナルドが低価格商品の提供に重きを置いていたのに対して現在では、顧客の満足という点を重要視しています。
安い商品は真似されやすいという印象ですが、独自のサービス、商品などのブランド力は腐らないです。この点マクドナルドは現代のビジネスモデルに忠実と言えるでしょう。
最近マック行ってないなと思う人は是非行ってみて昔との違いを感じてみてくださいね。
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