経営順調なコメダホールディングスの決算について解説!【斬新なビジネスモデル】

コメダ珈琲店を経営しているコメダホールディングスの通期決算(2020年2月期)が公開されました。

コメダ珈琲店といえば、元々愛知県を中心に展開していましたが、今では全国的に展開されていますね。

店舗展開が進んでいるということは、ある程度経営が順調であるということでしょうか。

今回はコメダホールディングスの2020年2月期についての解説と、どういう経営戦略を行っているのかについてを解説していきます。

目次

コメダホールディングスの決算概要

まずはコメダホールディングスの2020年2月期決算について解説していきます。

参考資料はこちらです。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/3543/ir_material_for_fiscal_ym/79598/00.pdf

2020/2期決算(百万円単位)

2020年2月期2019年2月期  前年対比
売上収益31,21930,335102.9%
営業利益7,8787,568104.1%
税引前利益7,7757,461104.2%
当期利益5,3695,115105.0%

6期連続して増収増益決算となりました。

2020/2期売上収益についてはIFRS第16号「リース」を適用しており、従来より売上収益が低く計上されてしまいます。

しかし、それを加味しても前期比プラス2.9%というのは中々の成長率と言えるでしょう。

当期最終利益も、約53億円と順調な経営を続けています。

では、どのような要因でプラスとなったのでしょうか。

成長要因を見る前に、コメダホールディングスの事業形態についておさらいしておきましょう。

コメダホールディングスのビジネスモデルについて

コメダホールディングスのビジネスモデルについて解説します。

何故コメダ珈琲店が注目されているかというと、他のカフェとはまるっきり違うことをしているからなんです。

スタバ、ドトール、タリーズなどの有名店とは、少し雰囲気が違いますよね?

実はその違いは数字にも出ています。

上記の3社の営業利益率は5%〜10%なのに対して、コメダホールディングスは営業利益率が30%程度になっています。

つまり、かなり効率的に設けているということですね。

では、どのような戦略を立てているのでしょうか?

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驚異のフランチャイズ率95%越え

コメダ珈琲店の最大の特徴はほとんどの店舗がフランチャイズ店であるということです。

店舗の95%以上がフランチャイズ店という驚異的な数字であるということです。

ちなみにスターバックスは全店直営店ですので、正反対の経営をしているわけですね。

フランチャイズ展開をすることによってオーナーからロイヤリティーを貰えたり、自社商品をフランチャイズ店に売ることができます。店舗の経営や人件費などはフランチャイズ契約者が賄うのでコメダ側には余計な経費がかかりません。

つまり、店舗が儲かっていようが赤字を出していようが一定の収益を得ることができるので、コメダ側にとってはリスクなく儲けることができます。

フランチャイズはもちろんいいとこ取りができるビジネスですが、店舗が増えないと儲かりません。

つまりコメダホールディングスが成長するためには、フランチャイズ契約を増やして店舗展開していく必要があるわけですね。

しかし、フランチャイズ自体に良いイメージはありませんよね?莫大な借金をして、多額のロイヤリティーを毎年払っている印象があります。

何故コメダ珈琲店はここまでフランチャイズ展開できているのでしょうか。

定額制ロイヤリティの採用

コメダのフランチャイズ契約で驚くべきポイントは定額制のロイヤリティであるということです。

一般のフランチャイズ契約では、毎月売上の数%をロイヤリティーを支払うことになっています。

コメダホールディングスではロイヤリティーが1席当たり1,500円の固定となっています。

定額制であるということはどういうことか。

オーナーにとっては売上が上がってもロイヤリティーは変わらないのでお店の売上が上がれば上がるほど儲けられます。さらにロイヤリティーが固定であることは店舗の計画も作りやすいです。

このシステムは画期的です。フランチャイズオーナーのモチベーションアップに貢献しており、フランチャイズ参入しやすい状況を作っています。

現代の喫茶店と逆行する店舗経営

近代では人件費削減のため、喫茶店ではセルフサービス型の店舗が多くなっています。

基本的にはお客さんが商品を取りに行って、片付けもお客さんがやると行ったお店が多いですよね。

そして、スターバックスのようなカフェで重視されているのは「回転率」です。

なるべく多くのお客さんに来てもらえるよう、回転率を上げるような商品展開をしています。

また、座席間隔も狭く、なるべく多くのお客さんが座れるような店舗づくりになっていますね。

コメダ珈琲店では、現代の喫茶店のビジネスモデルとは全く逆行しています。

逆行しているということは良くないんじゃないか?と思ってしまいますがそうではないのです。

最も良い点は、お客さんの満足度です。

コメダ珈琲店は店員さんがオーダーを取りに来て、商品も店員が持ってきて、片付けも店員がやってくれます。

そして、回転率を重視していないため、長居するお客さんも多いです。

そうなると、お客さんにとっては「他の喫茶店よりも居心地が良い」と感じるのです。

特にコメダ珈琲店では、中高年などの、割と高年齢層の支持が厚いのです。

そもそもカフェではゆっくりしたいですよね。ですので回転率を上げることは効率面では良いことですが、喫茶店の本質としては逆行しているのです。

顧客満足度を上げる行為は、リピーターを増やすことに直結します。

このようにしてコメダ珈琲店は人気を集めているわけなのですが、他のカフェと比較すると、人件費等がかさんでしまいますよね。つまりフランチャイズオーナーにとっては経費を圧迫しかねません。

では、そのようにコストを抑えているのでしょうか。

食材コストを極限まで抑えている

コメダ珈琲店の経費削減策は、「食材のコスト削減」です。

安い商品を使っているのでしょうか?そういうわけではありません。

食材の種類が極端に少ないのです。

というのもコメダ珈琲店は120種類程度のメニューが常駐していますが、食材の数はなんと20種類ほどしかありません。

食材の種類が少ないと、仕入れの無駄を省くことができるので結果として商品原価率を抑えることができます。

それでいてメニューの数は120種類ほどあるので、お客さんにとっては飽きることがありません。

フランチャイズ店への商品卸売が収益基盤

しかし、コメダホールディングスはフランチャイズのロイヤリティーを定額制にしているため、あまり儲かりません。

1店舗の席数が100席だとして、月に15万円です。フランチャイズ店がほとんどであるコメダホールディングスにおいて、その程度の収益では当然会社経営できませんよね。

では、どうやって売上を得ているのかというと、商品の卸売です。

コメダでは、自社工場で商品を作り、それを店舗に売っています。

この売上が総売上の70%ほどを占めています。

つまりは、フランチャイズ店にコメダの商品を売ることで儲けているビジネスモデルということですね。

コメダホールディングスの増収増益要因について

では、前述したビジネスモデルを踏まえつつ、2020年2月期のコメダホールディングスの増収要因について解説していきます。

まず、店舗数が前期比で36店舗増えました。

ということは、ロイヤリティー収益も増えますし、売上の基盤であった商品卸売も増えるということになります。

実際、卸売収入は前期比+21億円ということでかなりの増収要因であったと言えます。

また、直営店の収入も7億円ほどプラスであり、コメダ珈琲店そのものが順調であることがうかがえます。

営業利益についても、売上収益が増加したことにより、増加しています。

経費面では、人件費、配送費が大きな上昇要因でありましたが、売上の増加によって十分カバーしている状況であり、問題ないです。

今後の施策について

では2021年2月期に向けての展望はどのようなものなのでしょうか。

新型コロナウイルスの影響により、現時点では業績予想が公開されていません。

しかし、4月に入ってから主要収益要因である卸売が前年の8割程度となっていることもあり、増収増益とはなりにくいと予想されます。

では、来年の決算に向けて、どのような施策を行うのか、見てみましょう。

新商品の展開、商品製造の改革

まずは商品ラインナップです。期間限定商品の拡充を行なっています。これについては従来通りであると言えます。

そのほかにも、地域限定商品を全国に展開したり、他ブランドとのコラボレーションを実施したり、コメダ珈琲店のブランド商品を販売しています。

またHACCPに対応した工場、製造ラインにすることで、食の安心を守る体制を確立させています。

そして、大きな事業としては、コメダの主力とも言えるあんこの供給を安定させるために、製餡事業を開始するとのことです。

サービスの向上

コメダでは、従業員のサービス向上にも努めています。

具体的には、全国接客コンテストを毎年実施しています。これにより、顧客満足度と従業員満足度の両方を高めようとしています。

また、自動釣銭機、キャッシュレス券売機、QRコード決済、モバイルオーダー、セルフレジなど、便利なシステムを随時導入していく予定です。

さらに、公式アプリを導入予定で、これにより新規顧客を獲得、囲い込みする予定です。

店舗展開

今後の店舗展開についてですが、大きく2点あります。

1つ目は海外への展開です。

現在アジア圏への店舗展開を進めており、今後も海外への規模を拡大していく予定です。

2つ目は新業態の開発です。

コメダホールディングスでは、従来の喫茶店事業だけでなく、パン屋の小売事業も進めています。

また、「おかげ庵」という店舗名でレストラン事業も徐々に拡大させている最中であり、新事業に積極的に動いていることがわかります。

新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルスが大流行している中でコメダホールディングスも2つの施策を行なっています。

時間短縮営業と、テイクアウト販売です。

時間短縮営業については文字通りです。

テイクアウトについてはただ販売するのではなく、店の外に出て店頭販売を行ったり、テイクアウトメニューの割引を行ったり、コメダ珈琲店で出されている食パンの販売に注力したりしています。

終わりに:今後の展望について

コメダホールディングスの決算、ビジネスモデルについて解説しました。

今後注目すべきポイントとしては、どの程度展開できるかという点です。

現代の喫茶店のビジネスモデルと正反対のビジネスモデルで、「逆張り」をしていたわけですが、これが儲かるとわかると、同じような形態の店舗がどんどん参入していくでしょう。

飲食業はブランド以外で差別化が測りにくいので、参入されてしまった時に店舗展開力が落ちるかな?といった懸念はあります。

しかし、海外事業や新事業の展開等も行っており、すぐに崩れるものでもないのかなというような感想です。

コメダのビジネスモデル自体は非常に良いもので本質を捉えていますので、是非お店に足を運んで学んでみてください。

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