ホテル業がコロナで倒産しやすい理由とは?宿泊業の資金繰りについて解説

新型コロナウイルスの影響によって倒産する企業が後を絶ちません。

特に影響を受けいているのは、飲食業、宿泊業、アパレル関係です。

以前アパレル業についてはなぜ倒産するのかという記事を出しました。

あわせて読みたい
なぜアパレル業界は新型コロナウイルスの影響で倒産しやすいのか?原因を徹底解説 新型コロナウイルスの感染拡大により、企業の損失は大きいものとなっています。 実際、ここ数ヶ月の間でも多くの企業が倒産しました。 https://www.tousaiblog.org/coro...

今回はホテルなどの宿泊業がどういった理由で倒産するのかという点について解説しようと思います。

目次

宿泊業がコロナで倒産しやすい理由

宿泊業がコロナウイルスによって倒産しやすい利用は、以下の通りです。

  • 設備投資負担が重たい
  • 自己資本比率が低い
  • 十分な現預金を保有していない
  • 近年競合が激化している

順番に解説していきます。

設備投資負担が重い

ホテルを建てるのには莫大な資金がかかります。

この資金は銀行からの借入で調達するのが基本ですが、後々になって借金の返済が大きく負担になってくるのです。

借入の金額が大きいということは、月々の返済額も大きいということです。

コロナウイルスの影響によって、ホテルの稼働率が大幅に減少すると、設備投資の返済に充てる資金が足りなくなってしまいます。

このように、ホテルのような莫大な設備を保有するということは大きなリスクになるのです。

自己資本比率が低い傾向にある

自己資本比率とは、総資産(現預金や建物などの資産)に対して自己資本(自分所有の資産)がどのくらいあるかという割合です。

言い換えると、自己資本が多いということは借入が少ないということです。

自己資本比率が低いと、借入の依存度が高いので、急激な業績悪化に耐えられないケースがあります。


ホテル業では、前述の通り、設備投資を借入で依存しています。

借入の金額が莫大ですので、自己資本比率はどうしても低くなってしまう傾向にあります。

今回のコロナウイルスのようなケースでは自己資本比率が悪い企業はことごとく倒産の危機に陥るケースが多いので、自己資本が潤沢でないホテル業は危険と言えるでしょう。

十分な現預金を確保していない

ホテル業では、基本的には日々の売上が現金となる日銭型の商売です。

さらに、宿泊代金が決まっている関係で客単価は基本的には一定です。

こういった傾向から、稼働率さえ維持できれば、資金繰りに困ることはありません

また、設備以外にかかる費用は日々の売上で賄うようにできているビジネスモデルなので、運転資金が必要になりません

一方で、売上が安定しやすい分、大きく稼ぐ事も難しいです。

1日の売上には限界があります。満室稼働してしまえばそれで終わりです。

しかし、設備投資費用の返済もあります。

大きく儲けることができない中で、設備資金の返済は大きく、現預金を貯めて置くことはとても難しいです。

ホテルも建てたら終わりではなく、数十年後にはリニューアルや補修も考えなければいけないので、常に設備投資をする必要があります。


つまり、現預金を確保しにくい業種なのです。

現預金が少ないと、業績が悪化した時に、支払いが滞ってしまうので、倒産のリスクは非常に高くなります。

競合が激化している

近年では、観光需要の増加やインバウンド客の増加から、宿泊施設の需要は激増していました。

これにより、多くの企業がホテルなどに参入するようになりました。

また、民泊ブームもあり、ホテル以外の宿泊施設も増加傾向にあります。

その結果、宿泊施設がやや過剰とも言える状態になってしまいました。

宿泊施設が多いので、当然競合が激化してしまいます。

以前は思うように稼げていたホテルでも、近年では徐々に業績が悪化してしまっている場所も多いでしょう。

比較的新しいホテルだと、施設の綺麗さやサービスで差別化できますが、従来のホテルでは太刀打ちできないでしょう。

実際近年になって競合が激化した影響で業績が急に悪化し、今回のコロナウイルスの感染拡大が追い打ちとなり倒産に至ったケースは数多く存在します。

主な倒産企業とその理由

続いて、実際の倒産企業とその事例について見ていきます。

元々業績の悪かった企業から、新設したばかりの企業など、状況は様々ですので、色々な要因があるのが興味深いですね。

WBFホテル&リゾーツ

国内のホテルを運営しているホテル会社です。

企業規模としても大きく、全国的に複数のホテルを展開しています。


この企業が倒産した大きな要因は、借入のしすぎ、です。


借入の負担が大きく、現在の事業を支えきれなくなってしまいました。

宿泊業では、ホテルの展開をすればするほど借入負担も大きくなります。


ホテルの数を増やせば売上も増えるのが一般的ですが、今回のコロナウイルスの流行下ではほとんど売上がない状況でしたので返済ができるような状況ではなかったのです。



WBFホテル&リゾーツの負債総額は約160億円です。

いかに借入が多いかがわかりますね。

あわせて読みたい
【東京商工リサーチ調べ】新型コロナウイルス関連で倒産した企業まとめ【4月分その5】 新型コロナウイルスによる倒産事例をまとめています。 4月分の最後になります。 前回はこちらから https://www.tousaiblog.org/coronavirus2020-4-4 【新型コロナウイル...

株式会社ファーストキャビン

カプセルホテルで有名な「ファーストキャビン」というホテルを全国展開していました。

単価が4,000円程度であり、比較的安価なので利用者も多かったです。


ファーストキャビンの倒産要因としては

  • 競合の激化による業績悪化
  • 借入過多

などが挙げられます。


安価なカプセルホテル形式のホテルは近年急激に増えている状況であり、競合は激化します。

東京オリンピックの開催もあり、国内外問わず宿泊者数の増加が予想されるためこういったホテルも多くなっていたのです。

とはいえ現状では供給過多の状況でファーストキャビンも赤字が続いていたのです。


また、ファーストキャビン自身も全国に展開しており、設備投資の負担は重かったのです。



赤字が続いてしまったことと返済負担の重さに耐えられなくなった結果倒産してしまったと言えます。

あわせて読みたい
【東京商工リサーチ調べ】新型コロナウイルス関連で倒産した企業まとめ【4月分その4】 新型コロナウイルス関連倒産事例をまとめています。 4月分のその4になります。 前回はこちら https://www.tousaiblog.org/coronavirus-2020-4-3tousan 【新型コロナウイ...

まとめ:ホテルの運営は非常に難しい

今回はホテル関係のコロナ倒産の理由について解説しました。

結論としては、ホテルの経営というのは非常に難しいということです。



ホテル経営は宿泊料金が明確で稼働率と室数を掛け合わせれば簡単に事業計画が作れる一方で、事業が傾いた時にすぐに倒産に陥るリスクは非常に高いのです。

通常時であれば、すぐに傾くことはありません。

基本的には売上は安定しているのがホテル業のメリットなのですが、今回のコロナによる宿泊者減は流石に予想外と言わざるを得ないでしょうね。



今回のコロナウイルスを経験してわかることは、企業経営はしっかりと体力をつけることが大事でしょう。

現預金がなければすぐに倒産してしまいます。

慌てて事業を拡大するのはとてもリスクが高いので慎重な経営が大事であると言えますね。

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

目次
閉じる