業務スーパーというスーパーをご存知でしょうか?
その名の通り業務用の商品を取り扱っているスーパーなのですが、SNS等でバズったりと最近ではかなり人気となっています。
業務スーパーの魅力は何と言っても商品の安さ、ボリュームの多さ、お得感があります。
それに加えて商品自体に魅力的なものも多いのが人気を集めている秘密となっています。
ですが、なぜ安くてボリュームの多い商品を販売できるのでしょうか?
今回は、業務スーパーの安さの秘密と勢力を拡大させた経営戦略について解説したいと思います。
業務スーパーとは
業務スーパーとは、株式会社神戸物産が手がけるフランチャイズチェーン方式の小売店です。
神戸物産は2006年に上々の東証1部上場企業です。
当初は「プロの品質とプロの価格」という謳い文句で飲食店などの業務利用者をターゲットにしていましたが、一般消費者向けの販売を注力することで勢力を拡大していきました。
2020年8月末時点での店舗数は845店舗となっています。
業務スーパーの価格が安い理由7選
では、本題である業務スーパーの秘密について解説します。
業務スーパーの安さの根幹にあるのは
大量生産×大量仕入×大量販売
他の費用を極限まで抑える
ということです。
安く仕入れてたくさん売る事で利益を算出しているのです。
他にも安さの秘密はいくつかありますので順番に紹介していきます。
①海外商品を直輸入
業務スーパーでは、海外製品をたくさん販売しています。
海外からの商品であっても仕入れ値を抑えられるように、業者を挟まず直接仕入れているのです。
通常、海外からの輸入製品であれば、商社(問屋)から仕入れるのが一般的です。
しかし、問屋を挟む事で仕入値は上がってしまうので、業務スーパーでは中間業者を挟まないで仕入れるのです。
さらに、業務スーパーでは海外商品すらも大量に仕入れる事で、コストを削減させています。
②生鮮食品は置かないor少なめにする
業務スーパーの店内を見ると、極端に生鮮食品が少なく、チルドや冷凍の商品がほとんどであることが分かります。
生鮮食品が少ないということは、ロス(廃棄)が出にくいということになります。
廃棄が出てしまうと、その分の仕入れは損失になってしまいますので廃棄を生み出さないようにそもそも置かないという戦略をとっているのです。
廃棄が出ない→原価率が悪化しない→その分安く提供できるとなり、企業側にもお客さんにとってもメリットとなっています。
業務スーパーでは生鮮食品はほとんどないですが、野菜や肉が冷凍で販売されています。
冷凍で販売されていることにより長持ちするのでお客さんにとっても嬉しいですよね。その上大容量で安いとなれば人気が出るのも当然です。
③商品は段ボールのまま陳列する
業務スーパーの商品陳列方法は、棚に入れるという手法ではありません。
段ボールを開けたらその段ボールごと陳列させます。
実はこの手法、コストコが同じ戦略をとっているのです。
段ボールごと陳列させるメリットは単純で、人の手がかからないということです。
通常のスーパーであればこの品出し作業に多くの人出が必要です。商品が少なくなったら棚に入れ替えるという作業は果てしなく膨大です。
業務スーパーではこの作業がないため、人出を少なくすることができます。
アルバイトを2人〜3人減らせるだけでも、1日の費用は大きく削減できます。
薄利多売の小売業では、こういった人件費を減らせるのは大きなメリットとなります。
無駄な人件費がかからないからこそ商品の値段を安くできるというわけですね。
④自社工場でPBの生産
業務スーパーでは自社製品、いわゆるプライベートブランドの商品も多く取り扱っています。
このPBの商品では、自社工場で生産するので原価を安くすることができ、結果的に安価な値段で提供できるというわけです。
今では多くのスーパーやデパートが自社商品を開発していますね。
業務スーパーでは全国に23もの工場を設立し、PBの生産体制を潤沢にしています。
消費者目線だとPBの商品は安くてお得ですのでPB商品を充実させるのは売上アップにつながるのです。
このように製造から小売まで自社で完結させ中間業者を挟まない業態をSPAと言い、ユニクロやニトリ、無印良品などの企業がとっている戦略なのです。
⑤商品種類を極限まで少なくする
業務スーパーの特徴として商品の種類がものすごく少ないです。
例えば納豆だったら普通のスーパーでは10種類程度は並んでいますよね。
業務スーパーではたくさんの種類を置かずに、1〜2種類くらいまで削減させています。
種類が少ない分、大量に仕入れることができる&商品回転率もよくロスが抑えられます。
大量に仕入れると原価は安くなりますし、ロスが少ないと利益率が上がります。
このように細かい努力で、原価率と利益率を改善させて安く提供しているのです。
⑥工場製造ラインの工夫
業務スーパーでは自社工場内にも工夫が施されています。
それは、違う商品でも製造ラインを同じにする、という工夫です。
業務スーパーには、牛乳パックスイーツというものがあります。
1リットルの牛乳パックの中に、ババロア、杏仁豆腐、プリンなどが入っているという商品です。
この牛乳パックスイーツの製造ラインは同じです。
製造ラインが同じということは、同じ機械で作れるということなので設備コストを抑えることができるのです。
牛乳パックスイーツだけでなく、他の商品でも同一ラインで作れるものをなるべく多くしコスト削減に勤めています。
⑦広告を出さない
通常のスーパーでは、チラシでの特売情報やテレビのコマーシャルで宣伝を流すのが普通です。
しかしながら、業務スーパーではこういった広告、特売は一切行いません。
広告を出さないからこそコストを抑えられて安く提供できるというわけです。
そもそも業務スーパーは常に特売状態のような感じですよね。
そのほかの業務スーパーの戦略
業務スーパーはその価格の安さや顧客人気から業績を順調に拡大させていました。
コロナ禍でも順調に成長&出店を続けています。
では、どのような戦略をとっているのでしょうか?
店舗のほとんどがフランチャイズ
業務スーパーを運営している神戸物産の戦略としては、直営店をほとんど持たないというのがあります。
店舗のほとんどがフランチャイズ展開されているのです。
フランチャイズのメリットとしては、
・出店費用がかからない(オーナー負担)ので店舗を増やしやすい
・店舗管理に係るコストがない
・収益が安定する(店舗売上や店舗コストに依存しない)
ということが挙げられます。
フランチャイズ主体で運営しているのは他にも「コメダ珈琲店」があります。
コメダ珈琲店も95%以上がフランチャイズ展開ですが、屈指の利益率を叩き出しています。
このように、フランチャイズ展開は勢力を伸ばしやすく利益率も高いというメリットがあるのです。
広告は消費者にやってもらう
業務スーパーでは広告費を削減することで商品の価格を抑えているとお話ししましたが、広告自体が全くないわけではありません。
しかし、広告は自分たちで主体的にやっているものではありません。
業務スーパーの広告は一般の人のSNS、ブログ、テレビでの特集などです。
今の時代はSNSなどの広告効果が大きいです。消費者が紹介することでそれが拡散しあっという間に広まる時代です。
業務スーパーは商品自体を魅力的なものにすることでSNS等で紹介してもらい、多くのお客さんに来てもらうことに成功しているのです。
今の時代のトレンドをしっかりと捉えているのが戦略的にも上手いですよね。
業務スーパーと同じ格安スーパーについて
業務スーパーと同じように格安スーパーとして成功している海外企業にコストコがあります。
コストコと業務スーパーには共通点も多くあるのですが、戦略上の違いもあります。
2社の違いについて解説した記事もありますのでそちらもご覧になってくださいね。
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