新型コロナウイルスによる倒産事例をまとめています。
4月分の最後になります。
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新型コロナウイルス関連で倒産した企業
有限会社タカダキャッスルホテル(宿泊業)
1948年に高田駅吉田旅館として創業しました。
1994年に「タカダキャッスルホテル」として、現在地へリニューアルされ、駅近、低価格が魅力のホテルへと育っていきました。
また、ホテルの1Fでは「和食処 よし田」を運営し宴会などの需要にも対応しておりました。
しかし、利用客の減少や他者との競合が激化したことで業績は低迷してしまいます。
ホテルリニューアル時の借入の返済負担も重く、2015年には金融債務がサービサーに譲渡されるという状態でした。
そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大によりイベントの中止やビジネスマンの利用が減少したことで売上が激減し、事業継続断念に至りました。
負債総額は約2億5000万円です。
WBFホテル&リゾーツ(宿泊業)
WBFホテル&リゾーツは国内のホテル、リゾートの運営受託、運営事業、フィットネス部門を運営している会社です。
国内外の旅行業を手がけている株式会社ホワイトベアーファミリーのグループ会社として設立されていました。
積極的なグループ企業との連携もあり、2019年3月期の売上高は47億8428万円を計上しました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により外国人観光客が減少したほか、国内でも外出自粛が続き宿泊客のキャンセルが相次ぎました。
ホテル出店に係る借入の返済負担はとても大きく、金融機関との協議を進めていたところ、4月7日に緊急事態宣言が発令。
今後のウイルス収束の見通しが立たないことから現在の事業を支えきれないと判断し民事再生法適用となりました。
なお、他のグループ会社は現在も営業中との事です。
負債総額は約160億円。新型コロナウイルス関連倒産としては最大規模になります。
有限会社泉屋旅館(宿泊業)
1904年創業の老舗温泉旅館です。
福島県内に所在しており、1993年に約34億円を投じてホテルを新築し、その後の1995年4月期には約12億円の売上高を計上しました。
以降は客足が遠のいており、年間の売上高は約5億にまで落ち込みました。
その上、金融機関からの多額の設備資金借入返済が重たく、2004年に民事再生法の適用を申請していました。
2005年からは新たなスポンサーのもと、新体制での運営となり、徐々に売上は回復します。
しかし、2011年に起こった東日本大震災の影響で、再び客足が遠のいてしまいました。
その後はインバウンドの顧客を取り込み、2019年4月期には売上高4億3700万円を計上しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、売上が一気に激減。
資金繰りが限界に達してしまい、2020年4月12日に従業員を全員解雇し、破産開始となりました。
負債総額は約4億1700万円です。
株式会社明和商会(内装工事業)
大手ゼネコンの下請けを主体として、内装工事業を手がけていました。
大型マンションの受注を中心に、ピーク時となる2014年3月期は完工高23億7317万円を計上していました。
しかし、利益率は非常に悪く、借入金に依存した資金繰りとなってしまいました。
さらに、受注の選別、外注業者の選別などを進めた結果、2018年3月期の完工高は9億1528万円にまで落ち込んでしまいます。
また、大手ゼネコンは東京オリンピック関連を工事を優先し、マンション等の工事を減らしていたため、受注は大幅に減少している状況でした。
こうした中で、「新型コロナウイルス」感染拡大により工事が進まず、資金調達面においても困難になってしまい、事業停止に至りました。
負債総額は約7億9612万円です。
なお、持株会社である。株式会社明和ホールディングスも同様の措置となっています。
有限会社あまくさの島(宿泊業)
熊本県上天草市の旅館である、「旅館 漁師の郷」を運営する会社です。
そのほかに、2009年に破綻した株式会社谷脇工業の事業を継承する形で建築工事等も行っていました。
旅館業は県外観光客や地元の釣り客を中心に売上を伸ばしていました。
しかし、建築部門では2014年3月期以降、受注減少が続いており、2017年には完全撤退しておりました。
以降は旅館経営1本に注力し、約6000万円ほどの年間売上高にて推移していましたが、利益率が非常に悪く、赤字続きとなっていました。
また、旅館設備に係る借入負担も重く、資金繰りはギリギリの状態でした。
2020年2月に入り、新型コロナウイルスの感染拡大による宿泊キャンセルが相次ぎ、売上は急落。事業継続の見通しが立たず3月初旬に旅館を閉鎖し破産となりました。
負債総額は約6300万円です。
合資会社美濃屋支店(酒類卸売)
美の川酒造株式会社(酒類製造)の販売部門を担当する形で1953年に設立しました。
日本酒をはじめとして、一部の店頭では味噌、醤油などの食料品小売も営んでおりました。
新潟県内の長岡駅近隣の飲食店を中心に販路を拡大し、1998年2月期にはピークとなる約8億200万円の売上を計上しました。
しかし、コンビニエンスストアや大型スーパーの台頭により地元飲食店や商店の売上は大きく減少することとなってしまいました。
売上が減少傾向にあった中で、2014年には金融機関にリスケ要請をして資金繰り改善に取り組みましたがその後も売上は2億円程度で推移していました。
このような状況下で2020年2月に代表者が入院し、直後には芯がtコロナウイルスの感染拡大が発生。
繁忙期である3月の受注が大幅減少し4月末の決済の目処も立たず事業継続断念に至りました。
負債総額は約1億4900万円です。
株式会社ドライブセンター自由(宿泊業)
石川県で「松屋シティホテル」というビジネスホテルを経営していました。
建設作業員などの利用が多く、ピーク時には1億円超となる売上高を計上していました。
事業は順調に推移している中、近隣でのインターチェンジ開設という情報から、2007年12月にやく2億円を投じてホテルをリニューアルし「インターシティホテル自由」というホテル名に改名しました。
しかし、直後にリーマンショックにより消費の落ち込みが顕著となり、宿泊客が減少。
北陸新幹線開通後には客足が戻りつつありましたが、他ホテルの進出により競合が激化し採算性は悪化してしまいました。
2019年9月期の売上高は約3800万円と非常に低い売上水準でしたが、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大により宿泊客が急激に減少。
先行きの見通しは立たず、事業継続断念に至りました。
負債総額は約2億3500万円です。
旭東電気株式会社(製造業)
1949年に設立した旭東電気株式会社(現:旭東ホールディングス)から会社分割を行って2018年に設立された会社です。
各種漏洩遮断器、安全ブレーカーの製造開発を手がけ、大手住宅設備機器メーカーに販売していました。
1992年には売上高319億円ほどでしたが、2013年に海外法人が手がけた事業が失敗し赤字が続きとなったため分社化となりました。
しかし、採算性は回復せず、資金繰りが厳しい状況が続いてしまいましたが2020年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大により海外の現地法人の資金繰りが限界に達してしまいました。
金融機関にはリスケ等の支援相談をしていたものの、事業継続の見通しが立たず、民事再生法適用申請となりました。
負債総額は約62億9800万円です。
今後は、東証1部上場企業である加賀電子株式会社が支援意向とのことです。
株式会社花開(パソコン教室運営)
2009年1月に新潟県で創業。
長岡市内でパソコン教室と障害児童向けの支援デイサービスを経営していました。
少子化などにより利用者は伸び悩んでおり、創業等当初から業績は低迷していました。
資金繰りが厳しい状況でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により教室の開催が困難となり、2020年3月に事業を停止し破産手続開始となりました。
負債総額は約1億700万円です。
パン・リビング株式会社(加工販売)
1956年に東京で設立。
ベニヤ、建材等の合板加工販売を手がけていました。
自社で加工する防炎合板を中心に販路を拡大し、1991年6月期には売上高18億5100万円を計上していました。
しかし、需要の減少に伴い売上が徐々に減少してしまい、2019年6月期の売上は4億888万円まで減少しました。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大により、テレビ番組のセット用の合板の受注が完全にストップし資金繰りが限界に達してしまい、破産申請に至りました。
株式会社萬松(製造業)
自動車の部品を製造しており、埼玉や大分、フィリピンやメキシコなどに工場を持っていました。
大手自動車メーカーとの取引実績があり、2000年4月期には51億円超えとなる売上高を計上していました。
しかし、主力取引先からの受注が落ち込み減収が続いたほか、新型コロナウイルスの感染拡大により工場が操業停止してしまい、売上が立たない状況でした。
今後の事業の見通しが不透明であるため、破産申請開始となりました。
負債総額は約18億円です。
株式会社秋芳観光ホテル秋芳館(宿泊業)
山口県の有名観光地で「秋芳ロイヤルホテル秋芳館」というホテルを経営しています。
最大収容人数は250名で、1996年3月期には売上高8億5158万円を計上していました。
しかし、ホテル建て替え資金や関連会社への資金支援の結果20億円以上の借入を抱えており、観光客の減少とともに資金繰りが限界に達してしまい、2013年に民事再生法の適用申請をしておりました。
以降は再建に取り組み、大河ドラマの影響もあって売り上げが回復したものの、徐々に利用客も減少し、直近売上高は2億円程度にとどまっていました。
厳しい状況のなかで、事業売却を検討していましたが、新型コロナウイルスの影響によって計画が頓挫してしまい、資金が底を尽きたため、破産手続きとなりました。
負債総額は約2億3008万円です。
株式会社ロイヤルオークリゾート(宿泊業)
滋賀県内で初となる新型コロナウイルス関連倒産事例です。
1990年に琵琶湖湖畔に開業したアーバンリゾートホテルが経営破綻したため、経営権を取得し、2003年にホテルを再開する形で営業しました。
7つのレストランやバーを備えており、西日本最大級のスパを有しているなど、非常に知名度は高く、2014年3月期の売上高は約31億円でした。
しかし、京都府内にホテルが相次いで開業すると、競合が激化し宿泊客数は次第に減少しました。近年では数回にわたり経営陣が交代するなど業績は不安定な状態が続いていました。
こうした中で、新型コロナウイルスの感染拡大により宿泊キャンセルが相次ぎ、事業継続が困難となりました。
負債総額は約50億円です。
合同会社松本設計事務所(建設業)
岡山県内で、住宅工事や事務所、歯科医院などの建築工事を営んでいました。
住宅部門では、バリ島のスタイルを取り入れた工事を手がけており、2018年3月期には3億円近い完工高を計上していました。
しかし、外注費などがかさんでおり、約1300万円の赤字となってしまい、債務超過となっていました。
資金繰り状況が悪い中で、新型コロナウイルスの感染拡大により資材の仕入れができず、住宅引き渡しが遅れたことで支払いが滞り、破産手続開始となりました。
負債総額は約2億3100万円です。
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