新型コロナウイルスが猛威を振るっていますね。
外出を控えている方も多いでしょうし、経済活動にもかなりの影響が出ています。
日経平均も下落続きですし企業としてはかなり痛い状況ですよね。
経営状態が良くなかった企業は倒産のリスクもあります。
そんな中で実際に倒産してしまった企業も出てきているのが事実です。
今回は東京商工リサーチに掲載されている、コロナウイルスが原因で倒産した企業についてまとめてみました。
新型コロナウイルスが原因で倒産した企業
では、東京商工リサーチが掲載している新型コロナウイルス関連の倒産事例について見ていきましょう。
東京商工リサーチについてはこちらです。
北海道三富屋株式会社(飲食、食品製造販売)
北海道の栗山町にある会社が道内初となるコロナウイルス関連の倒産でした。
「くりやまコロッケ」の製造販売や、地元食材を使ったレストラン「蔵」を手掛けている会社でした。
地元産の野菜や肉を使用したコロッケを全て自社工場で生産し、全国で年間120回ほど催事場に参加していたりもしました。
2012年8月期には売上高1億1000万円を計上していました。
しかし近年では、価格競争が激化していて不採算となっていた小売事業をレストランに集約するなどの措置を講じていましたが思うように業況改善できませんでした。
それにより金融機関より経営改善計画の策定を受けるなどしていました。
こうした中、今年になり札幌で開催していたイベントに参加するも中国で拡大したコロナウイルスの影響により来場者が伸び悩みました。
結果先行きの見通しが立たず、2月21日に自己破産を申請しました。
ルミナスクルーズ株式会社(クルーズ運営)
神戸港クルーズ「ルミナス神戸2」を運行していた会社です。
テレビでも報道され、話題になりました。
3月2日に民事再生法の適用を申請して、同日中に保全・監督命令を受けました。
ルミナスクルーズは再建策として、神戸クルーズ船「コンチェルト」を運行する株式会社神戸クルーザーの100%株主であるファースト・パシフィック・キャピタル有限会社より支援表明を受けることなります。
現在「ルミナス神戸2」の運行は中止しているものの、早期の再開を目指すと同時に「ルミナス神戸2」を予約していた顧客に対しては消費者保護施策として、「コンチェルト」が代わりにサービスを提供することとなっています。
元々は1985年人材派遣会社および保険代理業をやっていました。
現在のようなクルーズ船の運航を始めたのは2008年のことです。
しかし2018年から始まった大規模な災害により運航中止が続き経営状況は悪化していました。
インバウンドの依存は低いものの、コロナウイルスの影響でキャンセルが相次ぎ、民事再生を申請しました。
負債額は12億4300万円とのことです。
株式会社志学アカデミー(学習塾)
1975年創業の総合学習塾「志学アカデミー」を富山、石川県内で展開しました。
小学校高学年から中学生向けの団体授業、個別指導塾、映像配信システムを用いた授業を行うフランチャイズ形式の大学受験予備校を展開していました。
合格実績なども豊富で富山県内では地場大手学習塾の一つとして認知され、2003年3月期の年間売上高は3億8000万円ほどになっていました。
しかし、少子化の影響、全国展開型の学習塾の進出などもあり生徒数が伸び悩んでしまい、教室を順次閉鎖していきました。
また、アルバイト講師の確保にも苦労していて、労務費がかさむなど経費も圧迫し収益も下がっていました。
そして、不動産取得や教室展開に伴う借入の返済が重荷となってしまい、代表者が所有する不動産を売却するなどしてなんとか資金繰りを確保していた状況でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により2020年3月以降の模試やテストの中止を余儀なくされるなど資金状況が改善せず、事業継続は困難であると判断し、自己破産を申請しました。
京洛和蒼株式会社(着物卸売)
こちらは2015年10月に創業したばかりの会社でした。
主業は和装製品卸売業で、呉服や浴衣、和装小物などの和装製品の企画、販売、外国人かっ観光客を対象とした着物レンタル事業などを手掛けていて、2019年1月期の売上高は約2億円ほどでした。
しかし、2019年4月に前代表である尾﨑哲也氏が死去。
6月には香港で起こった反政府デモの影響により香港人観光客が大幅に減少しました。その結果同業者間での価格競争が激化したことで収益性が悪化していました。
さらに2020年に入ってからは新型コロナウイルスの影響で外国人観光客が急減したことで今後の事業継続が困難となり事業停止に至りました。
負債総額は推定1億5000万円だそうです。
有限会社田村屋旅館(旅館)
東北地方では初となる新型コロナウイルス関連倒産事例です。
1886年(明治19年)創業の老舗旅館です。福島県の沼尻温泉内にある最大規模の旅館でした。
鉄筋コンクリート4階建で、客室は40室ほど、宿泊人員は250名ほどです。
外国人利用客も多く、年間で5,000人ほどの外国人観光客が宿泊利用していました。
しかし2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響により、学生や外国人観光客が激減、売上は震災前の半分ほどまで減少してしまいました。
売上回復のため、インターネットエージェントの利用や日帰り入浴客のリピート利用の増加に取り組むも客足が回復しませんでした。
その結果2019年6月期の収入高はピーク時の約3分の1ほどまで減少しており、過年度に利用していた旅館リニューアル資金に対する返済に苦慮していた状況でした。
また、今冬は暖冬によるスキー客の利用減少、さらには新型コロナウイルスによる宿泊キャンセルが追い討ちをかけ、今後の事業継続と借入返済が困難であると判断し民事再生法適用となりました。
株式会社愛トラベル(旅行会社)
中国地方では初となるコロナウイルス関連倒産事例です。
当社は1998年6月に設立された国内旅行業者です。
大型観光バスの導入を進めて、自社で企画した日帰りバスツアーを主体に事業を展開していました。
広島市と福山市の2拠点において積極的な格安プランの広告宣伝や営業活動を行なっており2007年5月期には13億円ほどの売上を計上していました。
しかし、同業者間での価格競争の激化、節約思考による利用客の減少もあり、最低募集人数ギリギリの集客しかできないツアーが相次ぎました。
そういった影響から近年では年間10億円を下回る売上で推移していました。
また、2018年夏に発生した西日本豪雨災害も影響し売上減少、採算性も悪化しました。
このため資金繰りが悪い状況が続いていましたが、新型コロナウイルスの影響で予定していたツアーの中止が相次ぎ、経営継続が困難となりました。
負債額は約3億円とのことです。
株式会社シティーヒル(アパレル)
「MAJESTIC LEGON」というアパレルブランドを展開している会社です。
1986年4月創業。当初はニット製品の卸売を手がけていましたが、95年2月に婦人服小売店を開設して以来はレディース用ヤングカジュアル衣料品の企画、製造、販売、小売を手がけており、アクセサリーやコスメ、バッグ、靴などの小物も扱っていました。
主要ブランドは「MAJESTIC LEGON」「le. coeur blanc」など。
直営店107店舗、FC30店舗、ECサイト35店舗を展開していました。
関東、関西を中心にショッピングモールなどに展開、近年は中国や香港などの海外進出も図っていました。
また2018年11月より、低身長の男性向けブランドとして「WADMYC!」の展開もしており、業績は順調に推移、2016年2月期には年間売上高143億9700万円を計上していました。
しかし、同業他社との競争激化、入居している商業施設の集客力低下により不採算店舗が増加したことで売上が悪化し2019年には3期連続の赤字となってしまいました。
度重なる出店で、金融債務は20億ほどあり、在庫負担も多かったことにより財務状況はかなり悪く2019年7月には金融機関にリスケ(返済の見直し)を要求していました。
その後も不採算店舗の閉鎖による減収、暖冬による冬物の売上悪化、新型コロナウイルスの影響による外国人、日本人来店客の減少が追い討ちとなり、民事再生に至りました。
負債総額は約50億円ほどとのことです。
株式会社花のれん(飲食業)
北海道の飲食店です。
1973年設立の有限会社花のれんが前身です。
寿司を中心とした和食料理を提供している鮨かっぽう「花のれん」を運営していましたが、2008年に経営破綻しました。
同年10月に株式会社を設立し同店を引き継ぐ形で営業再開、網走市内を中心に事業展開していきました。
網走市内の地元民を固定客として、流氷で有名な観光スポットを背景に外国人観光客も増加していました。
しかし、今年に入ってから新型コロナウイルスの影響もあり、外国人観光客のキャンセルが相次ぐようになり、事業継続が困難と判断し、破産決定開始となりました。
株式会社セブンレストランシステム(飲食業)
札幌市内で初の新型コロナウイルス関連倒産です。
「大衆食堂 半田屋」のフランチャイズ店として、市内に2店舗運営していました。
メニュー豊富で、低価格、24時間営業ということもあり、サラリーマンや学生、ファミリー層を中心に支持を集めており、ピーク時の2010年8月期には売上高約3億円を計上していました。
しかし、近年では、人手不足による経費負担の増加や集客力の低下、競合の激化などから赤字を計上しており、採算面は低調に推移していました。
2019年8月期の売上高は2億2000万円と、業況が厳しい中、新型コロナウイルスの感染拡大により、来店客がさらに減少する運びとなりました。業績回復の見通しが立たず、事業継続断念に至りました。
外国人をターゲットとしていない飲食店でしたが、コロナの影響が及んでしまったケースですね。
株式会社エターナルアミューズメント
東京都内初の新型コロナウイルス関連破綻先となります。
元々は中古車販売を手掛けていた前身企業のアミューズメント部門が別法人化し、2007年6月に同社設立となりました。
クレーンゲームの取り扱いから始まり、ゲーム機器や景品販売、レンタル事業や、キッズ向けアミューズメント施設である「Asobox」やアニメ雑貨販売店「Anibox」などの直営店の事業もしていました。
アミューズメント施設運営を中心に経営多角化し、M&Aを通じて業容を拡大していきました。
直営店は93店舗にまでのぼり、2019年5月期は売上高68億2700万円など、業界内の成長企業として注目されていました。
しかし、業績は順調に拡大していく中、仕入れや新規出店にかかる借り入れも多く、返済が負担となっていました。
2019年後半以降は資金繰りもギリギリになっていた中、2020年に新型コロナウイルスが流行したことを踏まえて、3月9日から3月19日まで期間休業していました。
また、SPAや健康ランドにレンタルしていたクレーンゲームなども新型コロナウイルスの影響により売上が激減しており、資金繰りが改善しない中、事業継続を断念しました。
負債総額は68億6170万円でした。前期売上とほぼ同等の負債を抱えていたというわけですね。
株式会社ニューステップ(レンタカー会社)
沖縄県初の新型コロナウイルス関連倒産事例です。
「アクアレンタカー」という名称で、沖縄県内でのレンタカー事業を手がけていました。
格安レンタカーという触れ込みで那覇空港などの無料送迎などを行ったことで顧客を獲得し、沖縄県の観光需要も相まって順調な売上高を計上しました。
しかし、リース料などを含めた経費も重く、2019年5月期は過去最高の売上高である6億579万円であったものの101万円の営業赤字も計上していました。
そのため2019年からは経営コンサルタントの指導を受けており、2020年3月からは新代表者による新体制も確立しました。
しかし同時期に新型コロナウイルスの影響もピークとなり、大幅な減収となりました。
今後も検討すると、リース債務を中心とした支払いに対応できなくなると考え民事再生法の適用となりました。
負債総額は3億9038円です。
有限会社豆匠たかち(製造・小売)
東京都で豆腐や揚げ物などの製造販売を手がけていた会社です。
1977年創業の歴史ある会社でした。
自社工場による製造で、百貨店や駅ビルなどに直営の小売店「八王子一丁庵」を20店舗ほど展開していました。
2015年3月期には売上高9億226万円でしたが、原材料の高騰や競争の激化などから収益性は悪化し、財務内容の改善が遅れている状況でした。
財務状況が良くならない中、2020年1月下旬から新型コロナウイルスの影響が出始め、消費行動の落ち込みが顕著になり、売上が急減、事業継続が困難となりました。
負債総額は約5億円です。
有限会社アライドフーズ(飲食業)
北海道の飲食点を経営する企業です。
北海道では4社目となる新型コロナウイルス関連倒産事例になりますね。
創業当初は食肉の輸入販売をしていましたが、2000年8月に札幌市内にてバイキングレストランである「運河亭」をオープンしレストラン事業を開始しました。
その後、2002年には2店舗目を展開、豊富なメニューを誇るバイキングスタイルのレストランが人気となり、ピーク時には約6億4000万円の年間売上高を計上していました。
しかし近年では、同業他社との競合が激化し、来店客数が減少、2019年1月期の年間売上高は3億4800万円にまで減少していました。
こうした中、店舗では新型コロナウイルスの影響と感染症対策により2020年3月1日から同年3月31日まで営業自粛として臨時休業していました。
しかし休業中に資金繰りが限界に達し事業継続を断念しました。
負債総額は6300万円ほどです。
合同会社おやど(宿泊業)
長野県初となる、新型コロナウイルス関連破たんです。
木曽町内の宿泊施設「ホテル木曽温泉」ぼ指定管理業社でした。
御嶽山の登山口に立地し、宿泊、日帰り入浴を提供し2013年3月期の売上は約7100万円でした。
しかし、2014年9月に御嶽山が噴火してからは利用客が減少してしまい、2019年3月期の売上高は約4000万円にまで減少しました。
2019年7月に御嶽山の入山規制が解除されたことで、今シーズンの売上回復は見込まれていましたが2020年に新型コロナウイルス流行により国内外の宿泊者が激減、今後の事業の見通しが立たずに事業継続断念に至りました。
負債総額は約3000万円です。
株式会社新和(食品卸売)
山梨県にある、業務用食材を卸売している会社です。
取引先は県内の小中学校や保育園、病院、老人福祉施設で、給食用の冷凍食品なども手がけていました。
2018年までは順調な経営をしており、2018年9月期の売上は2億9600万円でした。
しかし、市町村による給食センター設置により学校との取引数が大幅減少してしまい、翌年の2019年9月期の売上は2億1900万円にまで落ち込みました。
この売上減少が原因で大幅赤字となり債務超過に陥ってしまい、経営状況は悪化していまいましたが2020年3月に入り、新型コロナウイルスの影響もあって小中学校が休校したことにより学校からの取引が激減しました。
こうした中、資金繰り悪化も相まって先行きの見通しが立たなくなり、事業継続断念に至りました。
負債総額は約9600万円です。
関西スターリゾート株式会社(ホテル業)
2019年12月から大阪国際交流センターホテルの運営受託会社より業務を再受託するという形態で事業を展開しました。
しかし、翌年の新型コロナウイルスの影響にによる単純な利用者の減少やイベント等の中止による利用者の減少もあり事業当初からつまずく形になりました。
設立から間もない中で企業体力もなく、今後の事業継続が困難となりました。
しかし、ホテルの所有者は大阪市であり、今回の会社は受託会社からの再受託で運営していたこともあり、ホテル運営自体に影響はないとのことです。
設立が2019年11月、わずか5ヶ月で倒産となってしまった悲しいケースです。
株式会社和倉屋金物店(住宅設備機器卸売)
石川県にある住宅設備機器の卸売会社です。
1833年創業の歴史ある会社で、当初は家庭用の金物を販売していました。
その後、現在の事業へとシフトし、経営は順調に推移、ピークとなる1991年5月期の売上は8億3900万円でした。
しかし、その後は不景気が続いていた関係で売上高も減少していきました。
直近の2019年5月期の売上高は1億7000万円とピーク時より80%以上減少していました。
赤字が続いており債務超過になっている中で金融機関へ借入のリスケ要請もして経営改善に取り組んでいました。
しかし、2020年に入り新型コロナウイルスの影響で住宅設備機器の仕入れに支障をきたしており、販売できない状況になり業況が悪化しました。
こうした中、先行きの見通しが立たなくなり、事業停止に至りました。
高倉商事株式会社(卸売等)
新潟県初の新型コロナウイルス関連倒産です。
1914年に創業、当初は婦人服や健康食品などの卸売を手がけていました。
その後は小売店経営や不動産賃貸などにも進出し、経営は順調に推移、ピーク時の1989年4月期の売上高は約26億6200万円でした。
扱う商品は高額なものが多く、バブル期の売上は順調でしたが、廉価な海外製品が進出してきたことにより競合し売上が減少してしまいました。
そのため2019年4月期の売上高は約7億円で、採算性も悪化しました。
また、経営悪化により借入の依存度も高くなりました。
借金をして借金を返すというような悪循環が続いていた中、新型コロナウイルスの影響により取引先への販売が激減、展示会や催事などの中止も相次ぎ事業継続断念にう至りました。
負債総額は約6億6700万円です。
まとめ:今後も倒産企業は増えると思われます
今回様々な倒産企業を見ていきましたが、元々経営状態が悪かったことに加えてコロナウイルスによる売上減少で事業継続困難となるケースがほとんどです。
日本は災害も多く、外部環境の影響を受けやすい企業が多いですが、観光客に依存している企業なども多く、今回のウイルスの影響はかなり大きいと言えるでしょう。
国の政策で無利息で融資を受けたりと制度を活用して乗り切るしかないですね。
4月以降もどんどん増えています。当ブログでは以降も掲載しています。
逆にコロナウイルスの影響により需要が高まり、成功する企業も存在しているのです。
その企業についてもまとめていますのでよろしければご覧ください。
また、倒産の危機に陥る前に資金調達を行い、一時的な資金難を凌ぐ必要があります。
日本政策金融公庫からは実質無利息で借入ができる緊急融資制度も出ています。
融資制度の概要についてまとめていますのでそちらもご参照ください。
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