新型コロナウイルスの影響により、多くの企業の経営状態は厳しい状況です。
倒産する企業も増加しており、4月は80件以上の倒産報告がありました。
特に影響を受けているのは、飲食、宿泊、アパレルなどであり、個人消費がいかに減少しているかというのが伺えますね。
5月は通常であればゴールデンウィークによって飲食店やホテルなどが大賑わいしますが、今年は緊急事態宣言の影響もありかなり大打撃を受けていることでしょう。
当ブログでは、新型コロナウイルスの影響により倒産した企業をまとめています。
今回は5月中に倒産が報告された企業(東京商工リサーチ調べ)についてまとめています。
新型コロナウイルスの影響によって倒産した企業
株式会社日商丸小(飲食店)
埼玉、愛知、岐阜、大阪の各府県にて「OLD☆DAYS」や「HADOWS」などのステーキレストランを経営していました。
2000年代はショッピングモールなどの出店により集客力に恵まれていましたが、近年では同業他社は同業間での競合も激しく規模を縮小していました。
さらには赤字も続いており、債務超過でした。
こうした中、新型コロナウイルスの影響によりショッピングモールの休業が相次ぎ、テナント営業していた当社の事業継続が困難となってしまい今回の経緯に至りました。
有限会社千久亭(宿泊業)
香川県で「千久亭」という旅館を経営していました。
宿泊だけでなく、宴会場としても利用でき、人気を博していました。
近年では競合激化により、宿泊や宴会等での利用が減少し、資金繰りは厳しい状況でした。
そんな中で新型コロナウイルスによる影響は大きく、宿泊キャンセルなどが相次いで資金繰りは逼迫。
3月には所有している不動産が差し押さえられるなど、事業継続の見通しは立たず破産申請となりました。
有限会社くまもと商店(食品卸売業)
業務用食料品を南九州のホテルや旅館、結婚式場などに卸していました。
1990年代は順調な売上を計上していましたが、近年では従業員確保に苦戦するなど販売体制が整っておらず、資金繰りは悪化していました。
金融機関からのリスケも要請し食いつないでいましたが、新型コロナウイルスの影響で受注量は大幅に減少。
融資の利用も検討していましたが収束の見通しが立たない以上、事業継続は難しいと考え倒産となりました。
株式会社エムエムジェイ(衣料販売等)
東京、大阪、福岡、広島などでハワイアン雑貨店「マウナロア」を展開する他にも、オンラインショップやカタログ事業、百貨店での販売も手がけていました。
ハワイアンな雑貨や衣料品などを提供し、近年ではキルト製作の教室、リゾート挙式の参列衣装の企画、販売なども行なっていました。
2009年をピークに減収が続き、ピーク時の半分程度の売上にまで落ち込みました。
さらに新型コロナウイルスが追い打ちとなり、店舗の休業やイベントの中止などにより事業継続が困難となりました。
株式会社鹿角パークホテル(宿泊業)
秋田県鹿角市にて最大規模の「鹿角パークホテル」を経営していました。
宿泊だけでなく宴会、会合にも利用でき、1995年頃にはピークの売上を達成していました。
その後は地区内の人口減少や同業者との競合などにより経営状態は悪化。
レストランの限定メニューやイベント開催により集客アップを図りましたが、奏功しませんでした。
そうした中で、2019年12月期は1984万円の赤字を計上し苦しい状況でしたが翌年の新型コロナウイルスの感染拡大により宿泊のキャンセルが相次ぎ売上は前年同月の2割にまで落ち込みました。
事業継続は困難となってしまい破産申請に至りました。
株式会社京都セントラルイン(宿泊業)
京都でビジネスホテル「京都セントラルイン」を経営していました。
138室を保有し好立地かつインバウンド需要もあり売上高は高水準でしたが利益は大幅には出ず、財務状況が悪い中、新型コロナウイルスの感染拡大により宿泊客数が激減。
ホテルは4月21日に臨時休業していましたが、今後の事業継続の見通しは立たず、破産申請に至りました。
ホテル一萬里株式会社(宿泊業)
長野県にて「佐久一萬里温泉・ホテルゴールデンセンチュリー」を経営。
源泉掛け流しの大浴場を完備しており、宴会や披露宴に対応していましたが近年では単価の下落や宴会披露宴などの需要が低下しており、度々赤字続きでした。
設備投資の返済負担も大きく、コンサルタントの指導も受けながら経営していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により宿泊客数は大幅に減少。
資金繰りの目処は立たず事業継続断念に至りました。
株式会社井村(音楽教室)
「井村楽器」として大阪府内で知名度の高い音楽教室を展開していました。
音楽教室の他にも、楽器の販売なども手がけていました。
1985年頃まで経営は順調でしたが、その後は少子化の影響により、生徒数は減少し続けました。
新たな顧客を獲得しようと、英語教室も展開しましたが、大きな改善には至らず業績不振に歯止めがかかりませんでした。
こうした中で新型コロナウイルスの感染拡大により、教室は臨時休業に追い込まれ、家賃の減免や猶予の申請をしていましたが、展開していた教室数が多く対応が追いつきませんでした。
融資を申し込んでつなごうともしましたが、実行までに時間がかかってしまったため資金繰りは限界に達し破産申請となりました。
株式会社スカイグラウンド(カラオケ店)
北海道札幌市すすきの地区でカラオケ店である「美食カラオケ空間 エルカーサ」を運営。
宴会プランや結婚式の二次会等の利用が多く、人気を博していました。
新型コロナウイルスの感染拡大により2020年3月の売上はほぼゼロに近く、経営状態は急激に悪化していました。
4月に入ってからも状況は全く変わらず、事業継続が不可能となってしまいました。
有限会社村田全商社(アパレル)
群馬県内のショッピングモールなどに、婦人服やバッグなどを販売するアパレルブランド「JUARDHI」や「MADAGASCAR」を展開。
10代から30代をターゲットにした商品やオンラインショップでの販売を手がけていました。
低価格な商品で人気は高かったのですが、商品の利益率が非常に悪く、常に採算性は悪化していました。
不採算店舗の縮小、不良在庫の処分などを行い経営状態の立て直しを図ろうとしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により集客が大幅に落ち込み、資金繰りが悪化。
店舗休業状態が続き、今後の事業継続の見通しが立たないことから破産申請に至りました。
株式会社アイ・ティ・オージャパン(卸売業)
大阪府で紳士服の卸売業を営んでいる会社です。
百貨店などへ商品を下ろしている他、自社独自のブランドも多数保有していました。
近年では大手同業他社との競合が激化しており、採算性は悪化。展示会などに注力し改善を図っており2019年7月期にはピーク時の売上に回復しました。
しかし、翌年の2020年に新型コロナウイルスの感染拡大により受注量は9割近く減少したことで、今後の資金繰りの見通しが立たなくなってしまい、破綻となりました。
高石給食有限会社(給食事業)
大阪府高石市内市役所や各施設に給食を配達している会社です。
近年では同業他社や外食事業の新規参入により競合が激化しており、採算性は悪くなっていました。
従来から借入依存度が高かったことにより、返済負担が重く、金融機関に返済リスケジュールを要請していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により取引先が休業するなどして受注が大幅に減少してしまい、資金繰りが限界に達してしまいました。
株式会社ジャニーバッグ(製造、小売業)
旅行用のキャリーバッグの製造や、空港内で小売業を営んでおりました。
近年では景気の落ち込みなどにより、売上減少が続き、厳しい状況でした。
新型コロナウイルスの感染拡大により、2020年2月以降の空港利用者は激減し店舗売上はほぼゼロという状況が続いていました。
業績は急速に悪化しており、打開策を見つけなければいけない状況で、ウイルス終息の見通しが立たないことから事業継続を断念しました。
旭東ホールディングス(不動産)
旭東電気株式会社の持ち株会社として、有価証券の運用や不動産賃貸を運営していました。
新型コロナウイルスの影響により、香港や中国にあった現地法人の資金繰りが大幅に悪化し、当社も大きな影響を受けました。
さらに4月28日に旭東電気が民事再生法の適用を申請、当社も事業継続の見通しが立たなくなり、今回の破産に至りました。
旭東電気株式会社についてはこちらでまとめています。
株式会社メルベイユアッシュ(アパレル)
20〜30代の女性をターゲットにした婦人服販売店である「メルベイユアッシュ」や「ユノートル」というブランドを展開。
首都圏や近畿地方、名古屋の百貨店や駅ビルに展開するほか、中国向けの卸売やネットショッピングも行なっていました。
過剰出店による設備投資負担が重かったほか、リーマンショック時に発生した為替影響による赤字などによって財務状況は悪化しており、金融機関へリスケの要請を受けながら立て直しを図っていました。
しかし、新型コロナウイルスの影響により店舗の休業を余儀なくされており、3月、4月の店舗売上はほとんど皆無という状況下で5月以降の売上の目処も立っておらず事業継続が困難であると判断しました。
有限会社デルフィーノ(文房具卸売)
手帳やキャラクターグッズなどの文房具類の卸売を手がけており、大手雑貨店向けに販売を行なっていました。
当初は順調に経営を行なっておりましたが100円ショップなどの台頭により減収が続いてしまい、直近では3期連続の赤字を計上しています。
赤字の累積により債務超過となっている状況でしたが、金融機関へのリスケを要請し資金を食いつないでいる状況でしたが、新型コロナウイルス感染拡大による売上減少が追い打ちとなってしまい、事業継続断念に至りました。
小矢部サービスステーション(飲食業)
富山県の小矢部サービスエリア内で飲食店と売店を経営していた会社です。
売店内で販売している商品には、自社製造したものもあり、「いもっ娘」などが有名でした。
近年では当サービスエリアの利用者減少によって減収が続いていました。
その影響により3期連続で赤字を計上してしまい、債務超過となっており、2019年12月にはレストラン営業を停止。
追い討ちをかけるように、新型コロナウイルスの感染が拡大し、サービスエリアの利用客が激減。
元々資金繰りが逼迫していた状態で売上急減が影響し事業継続断念に至りました。
株式会社アーネスト(飲食業)
長崎県内に飲食店を展開し、居酒屋「居酒屋ZEN」やカフェ「ダーツ&スポーツカフェ ZENMO」などを展開していました。
飲食店だけでなく、仕出しやゴルフカントリーのレストランも経営しています。
2010年以降は競合が激化している影響で採算性が悪化。不採算店舗の閉鎖により立て直しを図ったものの、減収が続く一方で債務超過が続いていました。
さらに競合が激しくなる中で、新型コロナウイルスの感染拡大によって店舗の休業を余儀なくされ業績が悪化。今後の見通しが立たずに事業継続断念に至りました。
合同会社フィッシャーズアイランド佐渡(水産物販売)
新潟県にて地元水産物の販売を手がけている会社です。
学校給食向けの加工物販売やインターネット販売を中心に業績を拡大していました。
時代とともに食の嗜好の変化や人口減少などによる売上減少が影響し赤字が続いている状況でした。
新型コロナウイルスの影響で学校給食の販売数が減少したことがきっかけで資金繰りが限界に達してしまい、3月28日に事業を停止していたとの事です。
株式会社アトリエ香川(卸売)
香川県内にある会社です。
四国の八十八ケ所巡礼者向けの巡礼用品の卸売を手がけていました。
近年では巡礼者も減少していた影響もあり、2018年からは旅行業にも参入し、遍路ツアーの企画もしていました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によりツアーのキャンセルが相次いだ上、納経所の閉鎖で巡礼者も激減し、売上はほぼゼロに近い状況でした。
今後の先行きの見通しが立たず、事業継続断念となりました。
5月以前の倒産事例まとめ
5月以前の倒産事例については他記事にてまとめています。
また、新型コロナウイルスで影響を受けている、アパレルやホテルがなぜ倒産しやすいのかについても解説しています。
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