新型コロナウイルスの影響により、多くの企業が経営悪化に陥っています。
3月と4月の2ヶ月だけでも、前年同月より50倍以上の倒産件数となりました。
当ブログでも定期的に新型コロナウイルス関連の倒産企業については紹介していきました。
ですが、その勢いはまだまだ続いています。
今回も前回の続きとして、東京商工リサーチに掲載されている新型コロナウイルス関連の倒産企業についてまとめてみました。
新型コロナウイルス関連で倒産した企業まとめ
今回も東京商工リサーチ様が掲載した企業についてまとめさせていただきました。
それでは、具体的に見ていきましょう。
有限会社ライフシナジー(飲食店経営等)
静岡県内初となる、新型コロナウイルス関連倒産事例です。
1970年6月に創業。当時は内装工事業を営んでいましたが、その後太陽光発電システムを販売したり、カラオケ、居酒屋などの経営に参入するなど多角化に乗り出して事業を拡大しました。
ピーク時の2008年8月期の売上高は2億8262万円でした。
しかし、事業拡大と同時に借入の負担も大きく、2005年8月時点で債務超過へと陥っていました。
その後も、居酒屋出店を続けていましたが、太陽光事業がうまくいかず撤退したり、カラオケ店が不採算となり閉店するなど事業再編を行っていました。
資金繰りは当時から厳しく、金融機関の借入のリスケジュールによって繋いでいた状況でしたが新型コロナウイルスの感染拡大により事業継続は困難であると判断し、破産申請に至りました。
負債総額は約1億6000万円です。
有限会社N.S.Factory(婦人服、雑貨販売)
2004年7月設立の婦人服販売業者です。
「FLASK」というブランド名で洋服やアウター、靴、小物等を扱い、全国のセレクトショップや百貨店を中心に事業展開していました。
一時は卸販売のほか直営店舗を開設し2016年6月期の売上高は約1億400万円ほどでした。
しかし、その後はファストファッションやネット通販市場の拡大の影響やアパレル業界自体の不振により売上は減少し、2019年6月期の売上高は約7800万円にまで減少してしまいました。
こうした中、記録的な暖冬に加えて新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり得意先のセレクトショップや百貨店への売上が急激に落ち込みました。
コロナウイルスの収束の目処が立たず、今後の業績回復の見込みがないことから事業継続を断念しました。
株式会社粉源(麺類製造業)
1977年創業。静岡県内の製麺業者です。
地元の食品スーパー等を主体に販売していました。
近年では大手同業者の台頭により競合を強いられており、経営的に厳しい状況が続いていました。
受注環境も悪化する中、2018年3月期の売上高は6500万円程度となってしまいました。
売上が芳しくない中で、原料や燃料などのコストは増加し、収益面でも厳しくなっていました。
業績回復が見込めない中で、新型コロナウイルス感染拡大により、事業の先行きに不透明さを感じて、事業継続を断念することとなりました。
有限会社式典さがみの(葬儀業)
1989年2月創業。神奈川県で斎場を経営する葬儀会社です。
24時間体制で相談を受け付け、直営斎場である「さがみの会館」を運営していました。
宗旨、宗派や規模を問わず、葬儀業務全般を手がけており、ピーク時の1997年9月期の売上高は約2億5000万円ほどありました。
しかし、時代の流れとともに、葬儀の簡素化、多様化、また大手葬儀会社との競争が激化しており、業容は縮小していました。
その結果、2019年9月期の売上高は約3000万円ほどまで減少しました。
規模を縮小した状態で経営し生き残りを図る中で、新型コロナウイルスの感染拡大により葬儀の延期や後日葬儀の増加、キャンセルが相次ぎ受注も激減しました。
このような結果を踏まえ、先行きの見通しが立たないことから、事業継続を断念し破産決定開始に至りました。
負債総額は約2億円です。
株式会社松田商事(ケータリングサービス)
2006年に栃木県で創業のケータリング事業を営む会社です。
「バラエティケータリングサービスRico」という名称で、イベント、パーティ向けに創作料理やお寿司などのケータリングサービスを提供していました。
記念式典や祝賀会などの会場設営もしており、栃木県や茨城県の市内にある幅広いエリアを担当していました。
しかし、記念式典やイベント、パーティーの減少などにより経営状況は悪化していました。
打開策として、葬儀向けのケータリングサービスを提供しなんとか持ちこたえていましたが、2019年8月期では約3000万円の赤字を計上してしまいました。
今期は新たな顧客獲得に向けて打開策を模索している最中でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大により葬儀後の会食を自粛するケースが相次いでおり、主力になりつつある葬儀向けケータリングサービスの売上が大幅ダウンしてしまいました。
その他のケータリングサービスも売上が停滞しており、事業継続は困難であるという判断を下し、破産申請に至りました。
負債総額は約1億8500万円ほどです。
株式会社趣味の呉服遠藤(呉服小売業)
1978年10月創業。福島県内で呉服販売を手掛けており、本社店舗で一般個人向けに呉服販売を行っていたほか、展示会による催事販売も積極的に行っていました。
両事業が順調に推移し、1981年9月期の売上高は、約1億8000万円ほどでした。
しかし、その後は和装需要が低下しており、新規顧客の獲得が進んでいなかったことから売上は徐々に減少し、2019年9月期には売上高は約2500万円まで減少してしまいました。
その後の2019年10月には台風の影響と消費税増税のダブルパンチによる業績悪化、資金繰りは限界寸前でした。
こうした中、新型コロナウイルスの影響によって卒業式の中止や催事の延期も相次ぎ、売上のめどが立たずに事業継続を断念するという結果となりました。
負債総額は約6000万円です。
まるい商事有限会社(不動産売買、民泊経営)
1965年、北海道苫小牧市で創業の不動産業者です。
アパートの所有と賃貸管理を手掛けており、1992年12月期にはピークである売上高16億9800万円を計上していました。
しかし、近年では他の物件との競合により入居率が低下し、不動産取得に掛かる借入金の負担が過大となっていました。
このような結果を踏まえて所有不動産を売却を進めた頃により、2015年12月期の売上高は1億5500万円まで減少し、不動産売却損により債務超過に陥ってしまいました。
状況を打開するべく、2019年8月に民泊事業として、「民泊苫小牧ハスカップ」を開始しました。
しかし翌年の新型コロナウイルスの影響により、観光客の宿泊予約キャンセルが激増し、資金繰りが限界に達してしまい、破産手続き開始となりました。
負債総額は約9億8000万円(直近決算時点)です。
株式会社富士見荘(旅館経営)
1955年2月に創業し、愛媛県の西浦温泉内にて全47室の温泉旅館を経営していました。
景観の良さと新鮮な魚介類を売りにピーク時の2005年12月期には約5億5000万円の売上高を計上していました。
しかし、その後は業績不振が続き、2013年8月に資金ショートを起こしていました。
事業はそのまま継続し、近年では需要が高まっている中国人観光客を相手にツアーの受け入れに注力し売上の回復に努めていましたが、2020年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大により、主力客の中国人観光客のキャンセルが相次ぎました。
春節と重なっていたこともあって、予定していた収益を確保することができず先行きの見通しが立たなくなっており、2月21日に事業を停止していました。
負債総額は約23億8600万円ほどです。
有限会社ムライストアー(食料品小売)
道南では初となる新型コロナウイルス関連倒産事例です。
1983年創業。食料品の小売を手掛けており、長年の業歴を背景に地域住民に親しまれており、ピーク時には約1億5000万円の年間売上高を誇っていました。
しかし、近年では大型スーパーや宅配サービスの台頭に加えて、地元住民の高齢化や過疎化が進んでおり、直近の年間売上高は約2000万円にまで減少していました。
こうした中、2019年の11月に代表者が体調を崩して入院したことや、新型コロナウイルスの影響により地元小中学校への給食用の食材の供給が中止となり、売上が激減し今後の事業継続を断念しました。
生活必需品ということで食料品小売業が倒産するケースはレアな事例ではありますが、元々の業績が不振だったこともあり倒産に至ってしまったというわけですね。
負債総額は約7900万円とのことです。
株式会社岸製作所(不織布製作機械製造)
1983年位愛媛県で創業の会社です。
化粧分野製品の製造設備メーカーで、不織布製造機械を主体に展開し、近隣にある不織布メーカー相手に販路を形成していました。
2018年10月にはピークとなる売上高約11億7000万円を計上していました。
しかし、過去の在庫処理などもあった影響で約4億円の当期純損失となりました。
また、過去に実施していた設備への投資負担から借入の依存度は高い状態となっていました。
そうした中、新型コロナウイルスの影響により、海外取引先の業績が悪化し入金などが遅れており、資金繰りはどんどんと悪化し3月31日に資金ショートを起こしてしまいました。
その後4月7日に民事再生法の適用を申請しました。
負債総額は約10億5000万円とのことです。
有限会社トキワサンコウ(豆腐製造)
1999年に設立し、静岡県内で豆腐の製造を行っていました。
地元の食料品店や市場、学校給食向けなどの多くの販路を有し、2010年3月期の売上高は約1億5000万円を計上していました。
しかし、その後は売上が減収するなどして、近年の年間売上高は約5000万円ほどに減少してしまいました。
そのため打開策として、宅配弁当事業を開始するなど行ってきましたが設備の移設もあり2020年2月に取り扱いを中止していました。
さらに、新型コロナウイルスの影響により、学校が休校するなどし、主力の豆腐の需要が激減してしまい、今後の事業継続が不可能となってしまいました。
負債総額は8160万円とのことです。
稲荷山温泉株式会社(宿泊業)
1956年創業の老舗宿泊施設です。
長野県の稲荷山温泉内にて「稲荷山温泉 ホテル杏泉閣」を運営していました。
当初は地元民が出資する第3セクター方式で運営していたのですが、途中で完全民営化となりました。
結婚披露宴、宴会、日帰り温泉など、多岐にわたる利用が可能であり、ピーク時の2002年3月期には売上高3億8300万円を計上していました。
しかし、過去の設備投資借入の負担が重く、度々赤字続きとなっていました。
また、徐々に結婚披露宴や宴会等の利用も減っていたこともあり、近年の売上高は1億8000万円弱にまで減少していました。
こうした中、新型コロナウイルスの影響により顧客数が減少し、予約数も落ち込む形となりました。このような状況で資金繰りの目処が立たなくなったことにより事業継続を断念することとなりました。
負債総額は約6億3000万円とのことです。
株式会オオツヤ・シーアンドエス(造花小売)
2008年4月創業。浅草・かっぱ橋道具街に店舗を出店し、造花やバスケット、ディスプレイサンプルなどの販売を行なっていました。
同業との競争は激しく、当初から業績低迷が続いておりましたが、新型コロナウイルスの感染拡大等により、取引先の店舗が休業するなど販売がさらに減少し事業継続を断念しました。
負債総額は1519万円です。
株式会社安藤(旅館経営)
鹿児島県では初となる新型コロナウイルス倒産事例です。
1886年に創業の老舗旅館「割烹旅館安藤」を経営していました。
接待などに利用できる個室を完備していた他、100名以上収容可能な大宴会場を備えており、懐石料理や鍋料理などを提供していました。
団体客等の利用が多く、1996年10月期の売上高は約1億8000万円ほどでした。
しかし、東日本大震災を契機に川内原発を有する薩摩川内市内の景気が停滞してしまい、当旅館も影響を受けていました。
原発稼働再開とともに景気は回復していましたが、県外のホテルチェーンとの競合は激しく、近年の年間売上高は1億を割り込む状況でした。
さらに、新型コロナウイルスの感染拡大とともに、宿泊キャンセルが相次ぎ、事業停止に至りました。
負債総額は現段階では不明とのことです。
株式会社佐竹木工場(おがくず製造)
北海道にある会社で加工した木材を販売していました。
元々は別会社の傘下でしたが、1996年以降に独立し、原駒やおがくず販売に着手しました。
しかし、業績は低調に推移しており、2010年11月期時点で3,500万円程債務超過となっていました。
新型コロナウイルスの影響により、欧州の木材の調達が困難となり、事業継続断念に至りました。
負債総額は現在調査中とのことです。
株式会社エースコーポレーション(婦人靴製造)
1960年創業の婦人靴製造会社です。
自社ブランドである「PRIFIX」を展開していました。
百貨店などに出店した他、OEM生産(他社ブランド生産)も手がけていました。
業績は順調に推移し、1991年12月期は売上高約22億3400万円程でした。
その後は他社競合もあり、販売が激化しており、百貨店での売り上げも振るわず年間売上高は約6億円にまで落ち込みました。
さらに新型コロナウイルスの感染拡大により百貨店向けの販売数が激減しました。
こうした中、自社店舗の営業や修理の受付も停止しており、事業継続断念に至りました。
新型コロナウイルス関連倒産事例が止まりません
4月の倒産事例はまだまだあります。
随時当ブログでも紹介していきます。
こうして見ていると、観光客向けの宿泊業や、小中学校向けに販売していた食品製造や小売業、飲食業が圧倒的に多いというのがわかります。
こういった企業では売上がほぼ0ということもあり得なくないので資金繰りは相当厳しいですね。
コロナウイルス対策としては、持続化給付金や緊急融資制度も出ていますので、資金繰りが悪化する前に活用するほかないでしょう。
当ブログでも新型コロナウイルス対策の制度について紹介していますのでよろしければご参照ください。
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