はっちゃんショップというお店をご存知でしょうか?
テレビなどで何度か取り上げられているので知っている方も多いと思いますが、ワンコインで食堂の料理が食べ放題という破格のお店です。
おばあちゃんが1人で切り盛りしているお店なのですが、その方のキャラも濃さも話題になっています。
このお店なのですが、激安すぎて、毎月赤字なのだそうで、足りない分は本人の年金から補って経営しているみたいです。
本人は値段を気にせずお客さんの喜ぶ顔を見るために激安で提供しているのですが、実際のところいくらで提供すれば赤字じゃなくなるのか気になりますよね。
ということで、今回は激安ワンコイン食堂の本当の損益分岐点について、解説したいと思います。
はっちゃんショップについて
まず、はっちゃんショップについておさらいしましょう。
はっちゃんショップとは、群馬県桐生市にある食べ放題のお店です。
https://tabelog.com/gunma/A1002/A100201/10010456/
田村はつゑさんという方が一人で経営されており、500円で好きなだけ食べれて、何時間いても良い食べ放題のお店になっています。
料理はおふくろの味を思い出させるような懐かしいご飯で、常時15品程度はあるんだとか。
日曜日が定休日らしいです。
月の売上は?
はっちゃんショップは、1日に40人ほどのお客さんが来店されるそうです。
単純計算すると、1日の売上は500×40=20,000円ですね。
月に25日営業したとすれば、20,000×25=500,000円の売上です。
つまり、はっちゃんショップの売上は月50万円くらいになるということですね。
月に7〜10万円の赤字:費用はどのくらい?
はつゑさんによると、はっちゃんショップは毎月7〜10万円の赤字のようです。
ということは、売上が50万円だったので、費用は57万円〜60万円くらいということになります。
費用として出てくるものは、食材費と水道光熱費でしょう。
家賃はおそらく自前店舗でかからないでしょうし、一人で切り盛りしているので人件費もかかりません。
今後の計算のしやすさも考えて、毎月60万円の費用が発生しているということで話を進めていきます。
赤字脱却のラインは?
では、10万円の赤字を出さないためにはいくらで提供すれば良いのでしょうか?
そのためには、売上=費用になる必要があります。いわゆる損益分岐点というものです。
費用は60万円なので、売上が60万円になれば良いということですね。
単価×客数×営業日数=月の売上となるので、
600,000÷(40×25)=600円ということになります。
つまり、お客さんの数が変わらないのであれば、100円値上げをするだけでプラマイ0の収支になるということです。
600円になるだけで赤字から脱却できるなら迷わず値上げしたいところですが、本人は儲けのためにお店をやっているわけではないのです。
お客さんの笑顔のために赤字覚悟で営んでいるという精神に感服ですね。
はっちゃんショップが低価格な理由
はっちゃんショップは客単価が500円で食べ放題の料理を提供していますが、そこまで安いのに赤字が10万円で済んでいるのはなぜなのでしょうか。
答えはとても簡単で、人件費、家賃がかからないからです。
通常の飲食店では、原価率30%、人件費30%くらいが基準だと言われています。
その上で、水道光熱費と家賃が大きくかかります。
家賃は立地にもよりますが、10万円前後はかかりますし、人件費も本来であれば数十万円単位でかかります。
その二つがかからないので、原価率を大幅に上げても問題ないということです。
逆に言えばはっちゃんショップの原価率はほぼ100%に近いと思われます。
普通の飲食店では絶対にありえない価格提供です。
同じ形態でやるなら何円で提供すれば良い?
では仮に、はっちゃんショップと同じような形態、料理を提供するとして、通常の家賃、人件費も考慮すると、いくらくらいが基準になるのでしょうか?
普通の飲食店の場合は、家賃と人件費がまともにかかります。
家賃は10万円程度、人件費は人数と雇用形態によっても様々です。
食べ放題のビュッフェ形式でセルフサービスなので、調理する人と提供する人が1人ずつくらいで足りるでしょう。
ビュッフェ形式の食べ放題は、人出が少なくてもお店が回せるのでコストカットにはなります。
2人分の人件費が必要だとして、多めに見積もって50万円くらいと考えましょうか。
そうなると原材料と水道光熱費は60万円なので、家賃と人件費合わせて120万円の費用ということになります。
毎日40人の来客数という条件が変わらなければ、損益分岐点となる料金設定は1,200円となります。
1,200円の値段設定にしないと経営できないというラインだということです。
しかしながら、仕入れの工夫や人件費削減を効率的に行えば、もう少し安くしても大丈夫にはなります。
ただ、経費を切り詰めたとしても1,000円くらいが限界ラインであることは間違い無いですね。
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