楽天の決算が公開されました。
楽天といえば、EC事業をはじめ、楽天カード、銀行、トラベル、モバイル等々、様々な事業を展開しています。
今や楽天経済圏と言われる、生活の全てを楽天で賄っていけるほどの展開力になりました。
これだけ規模を拡大してきた楽天ですが、実際の決算について見ていきましょう。
決算概要
まずは楽天株式会社の決算短信について見ていきましょう。
https://corp.rakuten.co.jp/investors/documents/results/
2019年12月期 | 2018年12月期 | 差額 | |
売上収益 | 1,263,932 | 1,101,480 | 162,452 |
営業利益 | 72,745 | 170,425 | -97,680 |
税引前当期利益 | -44,588 | 165,423 | 210,011 |
当期利益 | -33,068 | 141,889 | 174,957 |
売上収益は前期比より14.7%上昇していますが最終的には330億円の赤字という結果になりました。
ファイナンス事業は好調
楽天カードは会員数の増加によるリボ払い、ショッピング取扱残高が大幅に伸びたとのことです。また楽天銀行では、ローン残高増加による貸出金利息の収益が大幅に増加しました。
保険事業は2018年12月期には災害による保険金が多く発生していた影響により今期は増収増益になりました。
楽天証券については、国内株式市場が伸び悩んでおり、収益としては減収減益になりました。
フィンテック事業全体で見ると売上収益増加、利益についても若干増加しています。
楽天カードの会員数は1,900万人突破、楽天銀行の収益は右肩上がり、楽天証券のマーケットシェアは23.3%と非常に良く、楽天の収益基盤の柱とも言える事業です。
モバイル事業は投資段階
楽天モバイルにおいては2020年4月に完全仮想化クラウドネイティブネットワークを提供するキャリアサービス開始に向け基地局の開設を進めている段階です。
また、「無料サポータープログラム」導入より第四四半期から回線料などの経費が発生していますがモバイル事業の会員数も増加しています。
以上より、売上は増加しましたがモバイル事業だけで見ると赤字となっています。モバイル事業に関してはまだまだ投資段階ということでしょう。
EC事業は売上好調、物流関連の投資により利益については減少
楽天市場などのインターネットサービスについては売上増加に向け物流システムを整備したことや配送エリアの拡大等売上アップに貢献しました。
物流システムへの投資、配送業者の配送制限、配送量増加なども影響し利益については減少しています。
広告事業の成長率も順調
楽天は広告事業の売上も好調です。
特に内部(楽天市場出店店舗等)による広告売上の成長が凄まじいです。
外部広告において2018の第四四半期に大手外部広告主を獲得した影響で成長率は緩やかでした。
前期営業利益にはオーネットの株式譲渡も含まれる
2018年12月期の営業利益は1,704億円となっておいますが、これには株式会社オーネットの全株式譲渡により281億円の利益計上が含まれています。
今後の見通し
決算短信では2020年12月期は前期比で二桁以上の売上を上昇させることを目標としています。各部門について見ていきましょう。
インターネット事業
楽天市場や楽天トラベルなどのインターネット事業については新規顧客の獲得をはじめ、自社物流網の整備、強化、楽天エコシステム(経済圏)のオープン化戦略、データやAIの活用による新しい市場の創造により売上収益の成長を目指すとのことです。
海外インターネットサービスについても楽天経済圏の拡大を目指すということでさらなる顧客の獲得を目指す方針のようですね。しかし、EC事業は海外での競争が激化している状況であり、楽天も競争を強いられることとなるでしょう。
フィンテック事業
クレジットや銀行については引き続きショッピングやローンの残高拡大に取り組んでいくとのことです。
保険サービスは新規顧客の拡大とインターネットサービスとの親和性の高い商品の拡充により一層の成長を目指すとのことです。
証券は株式市況の影響を多く受けるため、予想が困難とのことです。
個人的見解ですが、証券事業についてはコロナウイルスの影響を大きく受けることになるでしょう。
モバイル事業
2020年4月に携帯キャリア事業に参入予定で、基地局開設に伴うネットワークの全国区展開を進め、顧客基盤の拡大に取り組むとのことです。
これに伴って有形固定資産の減価償却費、他社回線の使用料の増加が見込まれます。
広告事業
今期の広告事業は内部売上の成長率が順調でした。
今後は外部広告主の獲得に注力するとのことです。
まとめ:安定した収益基盤と成長性が期待できます
今期はモバイル事業や物流を中心に投資を増やした結果の赤字決算ということになりました。
投資している事業についてはさらなるシェア拡大が見込めるので今後の成長性に期待できるでしょう。
今回の赤字は投資による赤字ということで売上の増加は見込まれているので事業継続に問題はないでしょう。
今後について注目すべき会社であると言えます。
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