アパホテルといえば、誰しもが聞いたことのある有名なホテルでしょう。
社長が特徴的なことが印象に残りますが、今では多くのホテルが建っていますね。
規模を拡大しているので、順調に経営しているみたいですが、ホテル業自体は経営が難しいと言われています。
そんなアパホテルが成功している要因とは一体どのようなことなのでしょうか?
また、コロナウイルスで宿泊業は大打撃を受けていますが、大丈夫なのでしょうか?
今回はアパホテルの経営戦略についてと、コロナウイルス後はどうなるのかについて解説します。
アパホテルの経営戦略とは
ポイント制度によるビジネスマンの囲い込み
アパホテルと言ったら、ポイントが付くというのが有名ですよね。
このポイント制度でターゲットとしているのが、ビジネスマンなのです。
なぜ、ビジネスマンをターゲットにした戦略なのでしょうか?
ビジネスマンが出張などで利用するとき、宿泊費は経費で支払われることが多いですよね。
経費なので、支払うのは会社です。
ビジネスマンは支払った領収書を会社に提示すれば、後で精算してくれます。
この時についたポイントは、ビジネスマンのものになります。
つまり、ビジネスマンにとっては、出張でアパホテルを利用すればするほど、ポイントが無料で貯めれてお得になるというわけです。
この戦略によってビジネスマンの囲い込みをすることで、平日の稼働率も高くなります。
ホテル業界としては課題である平日の稼働率を増やせる戦略はとても合理的です。
設備投資を重視し、無駄な費用を抑える
アパホテルは設備への投資を重視しています。
ホテル内での設備にかけるコストは惜しみません。
通常ホテルでは、「人」によるサービスが充実しています。
例えば、荷物を部屋まで運んでくれたり、チェックインや精算時にフロントが対応してくれたりしますよね。
アパホテルでは、このような人によるサービスがほとんどありません。
その代わり、ホテル内の設備を充実させより簡素化できるような仕組みにすることで、顧客満足度を下げない仕組みを作っています。
人によるサービスを減らしているということは、人件費を抑えられる、という重要な側面を持っています。
多くのホテルではサービスを重視するあまり、人件費がかさんでいますが、アパホテルではこの弱点がない分高い利益率を誇っています。
さらに、抑えているのは人件費だけではありません。
部屋は通常のビジネスホテルより狭くなっています。
その代わりに、ベッド周りを充実させています。ビジネスホテルでは、寝るだけ、という人も多く、短時間の宿泊であることが多いので、ベッド周りの環境を整えるということがニーズに合っているというわけです。
部屋が狭い分、照明やエアコンなどの光熱費代を削減することができます。
また、アパホテルでは大浴場が設置されています。
大浴場を置くことにより、部屋でお風呂に入るという人が少なくなるので水道光熱費を削減できるのです。
大浴場があることにより、宿泊者の満足度も高めることができます。
このような細かい部分を削減することで、利益率を最大限まで高めているのです。
ホテル用の土地は絶対に「現金買い」
ホテルを建てる時には土地がなければ建てられません。
土地の確保は非常に重要ですが、借りるor自分で購入するという選択肢があります。
アパホテルでは、土地を借りることはしません。
また、土地は絶対に現金で買います。
なぜなのでしょうか?
土地を借りない理由というのは、地代を毎月払うというコストがかかるからです。
購入してしまえば、土地にかかる経費は毎年の固定資産税くらいなものなので、コストを安く済ませられるということですね。
また、土地を現金で買う理由は、「スピード」です。
ホテルを建てる際に一番気をつけなければいけないのは「立地条件」です。
良い場所にホテルを建てなければ、それだけで集客力に差が出てしまうのです。
つまり、良い場所を見つけたら、他の人に取られる前に押さえておかないと、機会損失となってしまいます。
現金払いであれば、すぐに決済できます。
逆に借入などで土地購入資金を調達しようとすると時間がかかってしまうので、間違いなく他の業者に取られてしまいます。
土地さえ押さえておけば、建物の建設自体は焦る必要はないので、借入を利用しても良いというのがアパホテルの考えです。
しかし、土地を現金で買うというのも、アパホテルのように十分な資金を保有していないとできませんので全ての企業が真似できるわけではないのです。
コロナ中のアパホテルの戦略
土地の値段が下がり次第、すぐに手をつける
アパホテルがホテルを拡大する時期というのは、「土地が安い時期」です。
不景気な時は稼ぎが悪く、手が出しにくいのですが、その分価格も安くなるので、買い時なのだそうです。
コロナで不動産価格が下落した際には、間違いなく手を出すでしょう。
安いうちに買っておいて、景気が良くなった時に利益を出すという戦略ですね。
このことから、コロナ下でも事業を拡大していく方針なのだそうです。
休業は絶対にしない
新型コロナウイルスの影響で、宿泊者数は激減しています。
ホテル業界では、緊急事態宣言時に休業していた所も多いのですが、アパホテルは絶対に休まないようです。
社長の方針のようですが、ブランドイメージを上げるという目的があります。
宿泊者が少ない以上、営業していても赤字になるわけですが、それでもホテルを利用しなければいけない人が一人でもいるならば、営業を続けるという方針です。
実際、東日本大震災の時に、電気や水道が止まっている状態でも営業を続けていたという実績もあります。
その時には被災者に無償で提供しているなど、慈善精神も豊富であり、ブランドイメージも良くなっています。
コロナ下で営業を続けたということが誰かの役に立つことで、後々の売上に繋がると考えているということです。
業界規模が縮小しているタイミングでの寡占化
アパホテルはビジネスホテル業内での寡占化を目指していました。
新型コロナウイルスの影響で、多くのホテルが廃業することが予想される中で、その物件を買い占めてしまおう、という貪欲的な考えを示しています。
このタイミングで買い占めるメリットは何と言っても価格の安さということが挙げられます。
不動産は買いたい人が増えれば増えるほど高くなり、逆であれば安くなります。
コロナ下で多くのホテルが建物を手放す中、新たに買いたいという人はほとんどいないので当然価格は安くなります。
この、安くなったタイミングで一気に手を出そうとしているのです。
廃業したホテルを買い取り、リニューアルしてオープンさせることで、後々宿泊需要が増えた時に一気に独占できる仕組みを準備しているのです。
おわりに
アパホテルの経営戦略について見ていきました。
買い物上手な印象が強いアパホテルですが、我々個人の生活でも真似できる点があるというように社長は話しています。
それが、マイホームの買うタイミングです。
普通の人であれば、マイホームは、結婚して家族ができて、貯金もある程度貯めて、稼ぎもある程度増えたタイミングで購入を決断するでしょう。
アパホテルの社長からすると、その買い方はとてもナンセンスだというのです。
マイホームを買うタイミングの正解は、今なのだそうです。
今買う理由は、低金利で不動産価格も低いから、です。
自分がいざマイホームを買おうとしたタイミングで、住宅ローンの金利が上がっているかもしれないし、住宅の価格も上がっているかもしれない。
今現状であれば、相対的に見ても買い時なタイミングであるのに、このタイミングで買わずに、自分が買える時に買うということはあり得ないと言っています。
買える時まで待っているようでは、上手にお金を使えていないということです。
この考えはアパホテルのホテル建設の時と全く同じ考えなのです。
多くの人がやってしまいがちですが、経営を順調にするにはアパホテルのようなお金の使い方が理想であると言えますね。
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