新型コロナウイルス関連での倒産事例をまとめています。
前回の続きになります。
ご覧になっていない方は前回掲載分もどうぞ。
新型コロナウイルス関連で倒産した企業
有限会社グラフィカ(手ぬぐい小売)
1999年8月創業の会社です。
当初は広告制作・企画を中心に事業展開し、CG制作等をしておりました。
その後、2004年に手ぬぐいの制作と販売を開始しました。
鎌倉市内に手ぬぐい専門店「nugoo」をオープンし、一般顧客向けに販売していました。
販売部門は手ぬぐいだけにとどまらず、風呂敷、扇子の制作、販売も開始し、メディア等の認知度も高まっていきました。
顧客数はどんどん増えていき、2008年には2店舗目を開設し、2013年には「KITTE」内に3店舗目をオープンしました。
2019年7月期は過去最高となる売上高の約3億5000万円を計上しました。
しかし、店舗出店にかかる借入の負担は重く、余裕のない資金繰りが続いていました。
そんな中、新型コロナウイルスによる来店客数が大幅に減少し、売上が激減しました。
売上が減少したことで資金繰りの目処が立たなくなり、事業継続断念に至りました。
負債総額は約2億380万円です。
株式会社三田村(弁当販売、飲食業)
1980年8月創業。
新潟県内にて、弁当店「たわら屋」を7店舗経営していました。
弁当屋のほか、日帰り温泉施設内で食堂なども経営していました。
2001年には約16億円ほどの売上高を計上しました。
しかし近年では、大手の同業者やコンビニエンスストアの台頭により、競合が激化し、売上も減収が続いていました。
さらに「新型コロナウイルス」の感染拡大による外出自粛の影響が追い打ちとなり、資金繰りが限界に達してしまいました。
負債総額は約1億8000万円です。
株式会社楠瀬木工場(木材卸売)
1967年創業、元々は製造業でしたが後に建築材や家具用の木材の販売を手掛け、1989年11月期にはピークとなる売上高約57億8600万円を計上しました。
しかし、安価な輸入材が手に入るようになると、一気に減収し収益性は急激に悪化しました。
バブル崩壊も影響し業績不振に陥ってしまい、1996年に和議法を申請しました。
和議法申請後は、不採算だった生田原工場を休止し、仕入した木材を関連会社である、株式会社佐竹原工場に供給しました。
その中で、原駒の原料となるブナが欧州材にシフトしていましたが、新型コロナウイルスの影響により、原材料の調達が困難になってしまい、資金ショートを起こし事業継続断念に至りました。
負債総額は、約1億4000万円です。
辻田実業株式会社(手袋資材卸売)
香川県初の新型コロナウイルス関連倒産事例です。
1972年創業。手袋資材の卸売業者で、合成皮革、人工皮革、テープカット、その他繊維生地を取り扱っていました。
国産製品にこだわった事業展開をし、東かがわ市内の手袋業者を中心に販売網を構築しました。
ピーク時の1991年9月期の売上高は売上高10億3613万円ほどでした。
しかし、以降は顧客が生産拠点を海外に移したことや、海外の安価製品の台頭により、競合が激化し収益性が悪化しました。
こうした中、借入の返済が滞り、リスケ等も実施していました。
さらに、2020年3月に仕入先の従業員が新型コロナウイルスに感染したことにより、生産が2週間停止してしまい、資材調達が困難になりました。
加えて新型コロナウイルスの影響により、受注も大幅に減少し、資金繰りが限界に達してしまい破産申請となりました。
負債総額は約2億1000万円です。
株式会社赤玉(パチンコ店経営)
1959年に愛知県にて設立。
「アカダマ」という名称でパチンコ店を店舗展開していました。
2005年4月期の売上高は約179億円ほどでしたが、以降は競争激化や遊戯人口の減少から経営環境が悪化しました。
リストラ等を実施し、財務内容を改善しようとしましたが、2016年8月期売上高は約69億円にまで減少しました。
そのような状況で、運転資金が逼迫していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、1月以降の客足が激減し、緊急事態宣言の休業要請を受けて、4月13日より店舗を休業していました。
休業してすぐに資金繰りがショートし、4月15日に破産申請し同日破産決定開始となりました。
負債総額は約37億円です。
株式会社メルヘン(靴・衣料品小売)
北海道では、10社目となる、新型コロナウイルス関連倒産事例になります。
1965年4月創業。靴小売を主体に事業展開し、郊外の大型スーパーに「シューズスクエア」、「フォレスト」、「メルヘン」、「オレンジスカッシュ」の屋号で出店していました。
北海道と関東圏に出店し、ネットショッピング事業も行なっていました。
2011年からは自社商品も開発し出店も加速させていきました。
2015年7月期にはピークとなる売上高約9億9400万円を計上し、24店舗の出店実績でした。
しかし、不採算店舗も多い状況で、借入の返済が困難となっている状況でした。
不採算店舗の閉店などを行い、店舗数を縮小した結果、16店舗となり、2019年7月期の売上高は約7億円にまで減少しました。
こうした中、「新型コロナウイルス」の感染拡大により、商業施設の集客が低迷したことや休業要請を受け売上が大幅に減少してしまいました。
その結果資金繰りが限界に達してしまい破産申請に至りました。
負債総額は約3億6000万円です。
株式会社バロン(婦人服販売)
2006年創業。兵庫県内で婦人服や服飾雑貨品を販売する店舗を運営していました。
「カリアリ」という屋号で、店舗展開する他、インターネットショップも運営し、2017年3月期には売上高約2億円を計上していました。
しかし、店舗の閉鎖や競合の激化などにより収益性は悪化し、2019年3月期の売上高は約1億5000万円まで低下しました。
その後、消費税増税や暖冬により経営が苦しむ中、新型コロナウイルスによる外出自粛により来店客数が大幅に減少し、事業継続が困難となってしまいました。
負債総額は約1億9000万円程です。
株式会社GARDEN(飲食業)
2012年12月設立。
名古屋市内を中心に、飲食店「Cicoria」を展開していました。
イタリアンレストランや寿司バルなどを手掛けていましたが、当初から利益率が悪く、余裕のない資金繰りが続いていました。
店舗開設時の借入返済が大きな負担となっている中で、「新型コロナウイルス」の影響により、来店客数が大幅に減少し、資金繰りが厳しくなってしまいました。
有限会社藤栄堂(菓子製造)
1960年代に静岡県で個人創業し、1996年に法人成りしました。
当時は和・洋菓子を取り扱っていましたが、近年ではロールケーキの製造に特化していました。
長さ50センチほどの巨大なロールケーキを特徴とし、地元の消費者に親しまれました。
静岡県内に小売店5店舗を展開した他、スーパーにも卸売を行なっており、2009年9月期は売上高5億3400万円を計上しました。
しかし、コンビニの台頭や大手菓子店など競合が激化したことにより、2019年9月期は売上高1億8700万円にまで減少しました。
資金繰りは悪化し逼迫していた状況で、金融機関からの借入リスケも行なっていましたが「新型コロナウイルス」により売上が大幅に減少し事業継続断念に至りました。
負債総額は約2億6000万円です。
東京山喜株式会社(着物販売)
1961年12月に創業。
リユース着物販売の大手会社でした。
設立当初は江戸小紋訪問着や中国製刺繍訪問着を取り扱っていました。
その後はリユース着物販売の「たんす屋」を立ち上げ、出店を加速するとともにFC展開も進行しました。
その結果130店舗にまで拡大し、2017年5月期には売上高39億1744万円を計上しました。
しかし、催事販売が低迷したことや競合の激化に減収、原価高騰や店舗閉鎖もあり2019年5月期は1億6584万円の赤字を計上しました。
今期に入り消費税増税や天候不順により売上が悪化していた中、「新型コロナウイルス」の影響により、催事の中止や店舗閉店、休業を余儀なくされ自力での再建が不可能となってしまいました。
負債総額は約20億7896万円です。
株式会社北の旬・然(飲食業)
2015年創業の飲食店です。
魚介類を中心とした和食店を運営していました。
近隣のビジネスマン等からの人気は高く近年の売上高は5000万円代で推移していました。
しかし、他店舗の競争は激化しており、2期連続の赤字を計上していました。
業績不振が続く中、新型コロナウイルスの感染拡大により来店客数が激減し資金繰りを維持することが困難となり3月中旬に店舗を閉店し破産開始となりました。
負債総額は約9億円です。
株式会社金沢倶楽部(出版業)
1982年7月創業。地元タウン誌を主体に事業展開していました。
「Clubism」や「月間金澤」などの刊行物を刷新し、幅広い読者層を有していました。
また、広告業も手掛けており、TVCMやWEBプロモーションなどの制作を行っていました。
2004年12月期は当社ピークとなる売上高約18億円を計上したものの、以降は減収が続いてしまいました。
その結果2018年12月期の売上高は約8億円まで減少してしまいました。
減収が続いた結果資金繰りは逼迫していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により飲食業界の広告出稿が進まず事業継続が困難となってしまいました。
負債総額は約6億円です。
株式会社ファッション・サイエンス・アンド・テクノロジー(婦人服販売)
1992年兵庫県にて設立。
神戸の栄町で、セレクトショップ「la lampe merveilleuse」や「STILL STONE」などを運営していました。
ピーク時には4億円を超える売上高を記録していましたが、近年ではネットショップ等の競合激化により売上が低迷し、2019年7月期の売上高は約1億1400万円となっていました。
2020年7月期においては消費税増税や暖冬も影響しており、厳しい状況が続いていました。
そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛もあり売上高はさらに低迷。
金融機関とのリスケを検討していましたが、支えきれなくなり破産手続開始となりました。
負債総額は約1億3500万円です。
株式会社DCT COMPANY(航空チケット販売)
2009年大阪府で設立。
格安航空チケットや高速バスチケットなどの販売をしており、ソフトウェア事業なども行なっていました。
販売チャネルは主にインターネットであり、「DCTツアーズ」というホームページを運営していました。
競合が激しいこともあり、近年の業績は低調に推移していましたが、2020年に入り新型コロナウイルスの影響で予約キャンセルが相次ぎ、業績が悪化。
今後の事業継続の見通しが立たなくなり、事業停止に至りました。
負債総額は約1億5000万円です。
株式会社エールカンパニー(キャバレー経営)
2017年7月北海道にて設立。
すすきのでニュークラブ「Blande Blan」を運営していました。
すすきのは飲食店激戦区であり、競合も強いため思ったような運営ができておらず、設立当初から厳しい状況が続いていました。
こうした中、2020年に入り新型コロナウイルス感染拡大が始まり、2月下旬から来店客が激減。3月中旬に店舗を閉鎖しました。
負債総額は約700万円です。
まとめ:4月は衝撃的な件数でした
4月分の新型コロナウイルス関連倒産事例を3パートに分けて紹介していきました。
正直まとめている途中で3パートになるとは思っていませんでした。
それだけ新型コロナウイルスによる消費行動の落ち込みが大きく影響しているということです。
今後も多くの企業が経営の危機に直面する可能性もあります。
防衛策を取れるだけ取るということが重要になってくるでしょう。
コメント